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トーラスに二而不二を見る(1)
- 2017.02.14 Tuesday
- ■言葉と論理の世界
- 23:00
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- by 小野満麿
■1■もう30年程昔の話だが、福岡に遊びに行った時、藤原さんという物理学者に会ったことがある。後にBOBに相対性理論の詳細を教授したという彼は、マッドサイエンティスト臭を漂わせながら、卓上に並ぶ料理を、「このプロトンとエレクトロンの絡み具合が絶妙に美味い」とか言いながら食べていた。
■2■彼は私たちを試すように「立体螺旋をイメージできるか?」とか「光は粒子でありながら波でもあるとはどういうことか?」などという問いかけをした。粒子と波動の二重性に関する問いに対して私は、「1つのドーナツを垂直に切った時見える、2つの断面みたいなものですかね」と答えた記憶がある。
■4■当時のニューサイエンス本の中にあった、次元が変われば見え方が変わるという概念図を思い出しての、思い切り背伸びした答えだった。当時の様々なエピソードは別所で紹介することにするが、私は当時からこの様々な世界観の概念を重ねてプロットできそうな、トーラスという形に興味を持っていた。
■5■黄道12星座の1つである牡牛座トーラスは<Taurus>だが、ドーナツ型の幾何学立体のトーラスは<Torus>だ。日本語では同音異義であるこの2語は文脈で明確に区別されるけれど、このトーラスの形が好きな私が牡牛座で、5年後にハンドルネームを痴性体トーラスとしたからネットでは少しややこしい。
■6■さて、トーラス上のどの点を取っても、そこで交差する3種の円が存在する。すなわち(1)トーラスのW1面と平行な大円…赤色、(2)トーラスのW2面と平行な小円…青色、そして(3)W1面とは30度、W2面とは60度傾斜した切断面と重なる中円…緑の3種である。これを踏まえて話を進めていこう。
■7■トーラス上の1点には必ず3種の円が描けるが、この3種の円でトーラスを切断すると(1)は穴側と外側に2つの円が描かれ、(2)は180度離れた位置で同じ大きさの2つの円が描かれ、(3)は穴を介して互いに交差しつつ必ずペアになる、同じ大きさの2つの円が描かれる。3種6個の円である。(※)
■8■下の図はこの3種の円でトーラスを切断した時の、真横と真上から見た2面図だ。切断位置を赤い直線で示し、切断面は着色してある。右図に示した3番目の円は非常にデリケートで、イメージだけでトレースするのは簡単ではない。穴を介して曲面を斜めにぐるりと回りながら元に戻る双対の円である。
■9■このようにトーラスの中心穴を介して2つの円が対称的に重なった形は、これを研究したフランスの数学者イヴァン・ヴィラルソーにちなんで「ヴィラルソー円」と呼ばれている。下図はトーラスに対して傾いている切断面を水平にして、ヴィラルソー円が楕円対ではなく双対円であることを示している。
■10■なおこれらの図は、(2)の断面円とトーラスの穴の直径が同じ長さの「単位トーラス」で描かれている。1つ穴のトーラスは中心穴が本体より遥かに大きいものから、穴がただの1点であるもの(概念的には穴が埋まり本体に2重に重なったものも有る)まで様々な形状があるが、3種の円は存在する。
■11■これらトーラスの上にある3種6個の円の、どの種類の円のペアでも、1つのトーラスの上にあると言う意味では、どれも二而不二の形と見ることができる。「単位トーラス」の上にある3番目の「ヴィラルソー円」は、互いの円と円周を共有する「ベシカ・パイシス」という名前の特別な形状でもある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(※)5種類しかないプラトン立体の3種の双対立体の組「正4面体−正4面体」「正6−正8面体」「正12面体面体−正20」(正4面体は自身と双対)をそれぞれの相貫体にすれば、「正8面体と正6面体」「ベクトル平衡体と菱形12面体」「20−12面体」と「菱形30面体」及びそれらの中間立体としてのアルキメデス立体その他の多面体が生成されることを想起させられる。
また同様に5種類のプラトン立体をプラトン立体サイコロとして、その全てのサイコロの目の合計を考えると355(太陰暦の1年)となり、3種の双対を念頭に正4面体を2つにして数えると365(太陽暦の1年)になることもまた連想させられる。
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