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誰にもある共感覚の意識化



■1■聴覚・味覚・嗅覚・触覚はそれぞれ別個の知覚領域を占めていると考えられてきた。しかし最近の脳科学の進歩により、人間の感覚系は従来考えられていたより深く相互に補い合い、脳の広い範囲に関わっていることが分かってきた。

■2■世の中にはそれぞれの数に対応する色が見えたり、ある音高を耳にすると匂いを感じたりするような人がいる。いわゆる「共感覚」の持ち主である。これらは非常にまれなケースであり、時には聖なる超常能力として、また時には一般の知覚認識から逸脱した、神経系の異常者であるとも考えられてきた。

■3■しかしここ数年、神経科学者はこのようなメカニズムの一部を、全ての人間が持っているのではないかと考え始めている。脳は1つのインプットを別の感覚のために代用することができ、また常に情報を多重化している。「目で聞き、耳で見る」という表現が、単なる比喩異常のリアリティを持っている。

■4■Daniel Kishという米国人は1歳の時に視力を失ったが、自分の舌で素早く鋭い舌打ち音(クリック音)を出し、その反響から周囲の状況をかなり正確に把握できるようになった。これに順じた反響定位の実験で、参加した視覚の正常な被験者も好成績を収めたという内容の研究が、2011年に発表された。

■5■白ワインを赤く染めると、一流のテイスターでも嗅覚を狂わされる。正常人でも特定の音によって匂いの感度が上下するし、唇の動きを見ることで単語の聞こえ方が変わってしまう。人間の感覚は想像する以上に様々な情報をやり取りし頻繁に協力している。程度の差はあるが共感覚は誰にでもあるのだ。

■6■数字に特定の色が見えたり、ある音高を聞くといつも同じ匂いを感じたりする人はいる。そしてそうでない者は、自分とは別個の異常知覚者であると考える。だがそのような共感覚を無意識下ではみな持っているという可能性もある。双方を意識的に体験することが可能になる日がいつか来るのだろうか。

■7■私たちは様々な感覚を別個に体験していると思いこんでいるが、脳は多数の感覚情報を、意識的には観察できない形で同期させ、関連付けて外界を認識把握しているのである。その無意識という言葉で括られている、いまだ未知だが確かに存在する領域に対し、敬意を払いつつ探求していかねばなるまい。















 


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  • 2020.04.15 Wednesday
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