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両手で演じる背中合わせのハグ



■1■「背中合わせのハグ」をプラトンの「愛の起源」に重ね見たが、それだけで満足すると、せっかくの素材を視野狭窄の世界観に閉じ込めてしまう。向かい合ってのハグは、言わば私たちが祈りなど敬虔な気持ちを表す「合掌」に似ている。「背中合わせのハグ」は「背中合わせの合掌」に対応するだろう。

■2■合掌はインド起源の礼拝の仕草だが、神道では両手を打ち鳴らして礼拝する。手の甲の拍手はないだろうと思っていたら、それは裏拍手と言う名で存在するようだ。幽霊や未成仏なる者は手の甲で拍手をするという考え方がある。妖怪博士とあざなされる甲田拍手…いや博士の烈っつぁんに聞いてみよう。

■3■合掌するのは死者への作法、手の甲を下向きに合わせるのは死者からの作法というわけなのか。「手のひらのシワとシワを合わせてシアワセ、なーむ」とか言うTVCMがあったが、確かに手の甲だと指の節があるから「フシとフシを合わせたらフシアワセ、ちーん」みたいな駄洒落も有りかも知れない。

■4■手の甲を合わせる逆拍手は手話で「早くこちらに来い」という意味らしい。「マタニティヨガ」というものがあるが、その中に胸の前での「手の甲合わせ」から息を吸い込みつつ斜め上方に花が咲くように指先を引き上げるというものがある。乳管がしなやかになり、産後の母乳分泌が促進されるという。

■5■ヨガ風の呼吸ストレッチの中でも出現する。座ったまま両手を合わせ、それを頭上に持ち上げる。ぐーっと伸ばして息を吸い切ったら頭上で掌を返し手の甲を合わせる。そこから息を吐き始めて両手を伸ばしながら下ろし、ゆっくり息を吐き切ってから元の合掌ポーズに戻る。胸と肩甲骨をほぐすらしい。

■6■手の痺れの原因の1つである手根管症候群というものがある。手の神経は束になって手首の手根管を通るのだが、この中で神経が圧迫されることで痺れや痛みが生ずる。胸の前で手の甲を合わせる姿勢を1分取って手の痺れが強まる場合、これを「ファーレン徴候」と言って診察のポイントになるという。

■7■ほとんどすることがないと思っていた「手の甲合わせ」という仕草も、考えてみたらハンドクリームや化粧水やアロマテラピーの精油などをまんべんなく伸ばす時などにも、手の甲をすり合わせたりする。手の甲と掌をすり合わせたりすることも可能だ。ただし裏返しにしない限り両手は重なり合わない。

■8■このように3次元の図形や物体やある現象が、その鏡像と同一に重ね合わすことができない性質のことをカイラリティ (chirality)、もしくは「掌性」と言う。手はカイラルなものの一例で、右手とその鏡像である左手は互いに重ね合わせられない。語源はギリシャ語で「手」を意味するχειρである。

■9■荒木飛呂彦のマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』の中に、「両方とも右手の男」というキャラクターが出て来るがこれはフィクションだ。私たち人間の両手は、右手の掌と左手の甲を向かい合わせても重なり合わない。このカイラリティは幾何学的な図形、分子、結晶、スピン構造等で用いられている。

■10■さて学問的なことは専門家に任せておき、私たちはその語源でもある自らの両手の上で見てみようと思ったが、話の前フリが長すぎて「背中合わせの合掌」もしくは「両手の甲でハグ」自体についてはあまり語れなかった。申し訳ない。この次は両手のジェスチャーで意味を象徴する印契も見ていきたい。

■11■ちなみに合掌は胸の前で作るのは簡単だが、背中で作るのはかなりの柔軟性が必要となる。指先を下に向ける合掌なら簡単だが、意外にも手の甲を合わせる逆合掌は上向きでも下向きでも簡単にできる。自分が未だ体感していない人体のポーズは無限にある。見るだけでなく自分で体を動かすということ。












 

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  • 2020.08.18 Tuesday
  • -
  • 23:49
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コメント
そういえば、鏡像はなぜ左右だけが反転しているのか、とか、
昔からいろいろな解釈がありますが、
以前、そのことをヌースのどこかで話題にしたところ、
「鏡映反転は4次元の反転なんです」
とのことでした。

つまり、右手と左手とは、
互いに4次元的に反転しているともいえるのでしょう。

ということは、右半身と左半身とも、
内臓は別として、そういう関係なのかもしれません。
  • ふう
  • 2014/12/26 6:44 AM
■ふうさん。

以前BOBは逆さ眼鏡をみんなで作って、それをかけてみんなして広場を歩くということを、ヌース合宿でやったことがありました。

上下・前後・左右の対性はみんな時限的に異なるという気がしますが、もはや前後反転もしくは「奥行と幅」で語っているあたりはBOBにまかせちゃって、私は上下反転とその出会い見たいなところに次の話を進めています。

あ、今日のブログんとこですね。よかったら併せ読んでください(^^)。
  • とーらす
  • 2014/12/26 3:40 PM
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