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合気道のその先を考える


■1■「武道」とは武士道を指したが、江戸時代後期頃から古武道のことも指すようになった。「古武道」とは戦闘に関わる日本の伝統的な技術を体系化したものの総称だが、「現代武道」とは明治維新以降に古武道から発展したもので、その多くは稽古鍛錬を通じて人格の完成をめざすという方向性も有する。
 

■2■日本武道協議会による「武道」の定義では、「武士道の伝統に由来する我が国で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化」であり、その理念は「それを修練することで人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、国家社会の平和と繁栄に寄与する人間形成の道である」としている。
 

■3■主な武道は、柔道・剣道・弓道・相撲・空手道・少林寺拳法・なぎなた・銃剣道など無数にある。そんな中で私は「合気道」について注目している。合気道は武道家・植芝盛平が日本古来の柔術・剣術など諸武術を研究し、大正末期から昭和前期にかけて、独自の精神哲学でまとめ直した総合武道である。
 

■4■植芝盛平の障害や武勇伝に関しては数多くの資料や評伝があるのでここでは触れず、その独特な理念・精神性に注目したい。その基本こそ武術だが、その理念は武力によって勝ち負けを争うことを否定し、合気道の技を通して対立を解消し、自然宇宙との「和合」を実現するような境地に至ることである。
 

■5■通常の武道はその技術を特化しゆくのに対し、合気道では攻撃の形態を問わず自在に対応する。実戦的な護身武術でありながら、自分と相手との和合、自分と宇宙との和合を追及するという、求道的な平和哲学を内包するので、「和の武道」「争わない武道」「愛の武道」そして「動く禅」とも評される。
 

■6■「合気」とは、相手の力に力で対抗せず、相手の攻撃の意志、タイミング、力のベクトルなどの「気」に、自らの「気」を合わせて相手の攻撃を無力化させるような技法や原理を指す。また他者と争わず、自然や宇宙の法則と和合することで理想の境地を実現する技法から理念までを広く合気と称する。
 

■7■究極は他者・自然一切と戦わずして和合することなので、武術で相手と勝負をして「相手を倒す」「勝敗を決する」という戦いの思想がない。勝他の念や修羅の如き執着心が生じえない。合気道の極意は、世界を和合させ、人類を一家たらしめ、己を宇宙の働きと調和させ、宇宙と一致させることにある。
 

■8■真の武はいかなる場合にも絶対不敗である。即ち絶対不敗とは絶対に何ものとも争わぬことである。合気道は無抵抗主義だ。無抵抗なるが故に初めから勝っているのだ。勝つとは己の心の中の争う心に打ち勝つことだ。合気道の極意を会得した者は宇宙がその腹中にあり、「我は即ち宇宙」なのである。
 

■9■だがいかにその理論だけを説いても、それを実行しなければ非力である。合気道はこれを実行して初めて大自然そのものに一致することができる。つまり体を用いることで、身体自身の叡智と慈愛を解き放つこととなる。武道にありながら、最初からそれを超えている。平和憲法の理念とも通じている。
 

■10■老若男女の多くがその理念を通底し合えたら世界はどうなるだろう。今はまだ合気道という武道ではあるが、やがて武道というものを介さずともそのような境地領域に入る人々が湧出するのではなかろうか。身体があることそのものの奇跡。そのために今ある合気道の真髄を見詰め見極めていこうと思う。
 

)画像は「矢作スポーツトレーナー研究所」より借用して加工しました。 http://www.styahagi.com/2014/10/sty0005/










 


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