<< 人間の色を人間として見る(6) | main | 補色がらみの「色の算術」 >>

上代和語の色概念と全体構造



■1■日本古来の色の全体的な概念表現は「赤・白・青・赤」の4色に限られていたようだ。それは大相撲のやぐらの4柱の代わりの4つの房の色にも表されている。房の色は天空の4方位を司る4神に由来しており、青房は東方の青龍、白房は西方の白虎、赤房は南方の朱雀、黒房は北方の玄武を表している。

■2■この4色は音だけを見れば、≪カ←(ア)→オ≫の対称性と、≪シ→(ロ)←ク≫の対称性の交差でもある。これだけでは両端が電磁波の波長が長い赤と波長の短い青の間にある可視光線の色相の諸スペクトル、および両端が白と黒である灰色明度の諸スペクトルであるという物理的表現に誤解され易い。



■3■上代日本人の色彩観は現代とは異なるというのが国語学の定説だ。現代の色彩は色相・彩度・明度という3属性から捉えられており、色名は主に色相の差異特性を指す。しかし日本古代では彩度と明度を基本としていた。彩度の大小の両極が赤⇔青の対であり、明度の大小の両極が白⇔黒の対だったのだ。

■4■「赤…あか」は彩度が高い鮮やかな状態を表現する語であり、「青…あお」は彩度が小さい色彩を表現していた。「赤」<aka>は明るい(bright)と同じ語根であり、「青」<a(w)o>は「淡」<awa>と意味が近く、桃色や水色や灰色も一括して「青」と呼んでいた。蒼、碧とも書き、時には緑色をも指していた。



■5■「白…しろ」と「黒…くろ」は明度もしくは光量の大小に対応した語で、「白」は上代においては、現代の色の白っぽい(whitish )という意味よりも、「光輝いた」(shining)に近い原義だったのに対し、「黒」<kuro>は光の少ない様、または光の欠如、即ち「暗」(kura)が原義だったと考えられている。

■6■大和言葉的な語義では「しろ」は「濃い」を意味しており、「濃」しろ⇔「淡」あお、「明」あか⇔「暗」くろ、という対化関係になっている。色を表す和語の中で「い」を付けただけで形容詞になるのはこの4色だけである。光の濃淡と明暗だったこれら4色が、今では赤⇔青、白⇔黒と交差している。



■7■紅白饅頭や紅白歌合戦などの赤と白の対は、彩度の大と明度の大という2つの異なった対称軸の優位なもの同士の対である。鉛直方向に展開する次元と地上平面次元の交差と捉えれば、地球の赤道、青道、黄道、白道とも何か関係があるのではなかろうか。これは占星術や天文学の専門家にお任せしたい。

■8■市販の原子分子モデルは、日本の内外を問わずほとんどが水素→白、炭素→黒、窒素→青、酸素→赤という対応になっている。白・黒・青・赤がそのままH・C・N・O、原子番号は1・6・7・8である。正8面体を面点変換した正6面体、それと中接球を共有する正8面体の体積は1:6:8である。



■9■DNAを構成する1:水素・6:炭素・7:窒素・8:酸素と、もう1つの原子である15:Pリンに黄色が対応していれば、これはもう陰陽五行思想などとも確実に対応しているのだが、少しずれていてリンはオレンジ色に対応していた。黄色に対応しているのは結晶自体が黄色の次の16:S硫黄だった。

■10■上代語の「黄」は用例自体が少ないが、彩度の大きい「赤」と明度の大きい「白」の間をつなぐ言葉だったと考えられている。黄色が単なる赤と白の中間色から5番目の統べる色として立ち現われ確定して行くところに、ペンターブ的構造を想定できないでもない。何にせよ日本人の言語意識場は面白い。














 

スポンサーサイト

  • 2020.07.01 Wednesday
  • -
  • 23:00
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM