<< ミシャクジの象徴を超えて | main | メロンパン3…sunnyside >>

この身のミシャクジをはみ出して

 

■1■三木成夫が言うように、私たちの顔面は内臓の前端突出部であり、現実の外部世界を内部世界と接続し、また食物と毒物を選別する鋭敏な内臓触覚でもある。この辺はあにまんだら氏の専門領域であろうが、約5億年前のカンブリア期の内外反転した脊索動物ピカイア以来延々と続く記憶の先端でもある。

 

■2■この露出した鰓の感覚は内部に連続して口蓋・喉元から胃袋にまで及んでいる。しかし喉元過ぎたら熱さ忘れると言う通り、喉元より下の感覚は大脳皮質まで届かない。逆に突出部分である目、耳、鼻など、穴の開いている場所は敏感で、特に唇から舌にかけての部分はより高度な内臓感覚を有している。

 

■3■私たちの顔面表情筋は全て内臓系である鰓由来の筋肉であるのに対し、舌の筋肉だけは手足と同様に体壁系由来の筋肉だ。口内に入れ子になってはいるが、これもまた味覚などの繊細な内臓感覚を被った体壁系であり、5億年の長きに渡って食物を取り込み続けてきた器官なのだ。人間もまた然りである。

 

■4■この最も繊細な内臓感覚を有する唇と舌を使って、幼児は母親の乳首から直接受乳する。鰓感覚の顔面全てを動員して、乳房の肌触りを味わい尽くす。哺乳瓶や牛乳では代用できないものがここにはある。どれだけ栄養学的に母乳に近い乳が開発されようとも、このミシャクジと垂重する訓練には及ばない。

 

■5■カモノハシやハリモグラは卵生だが、脂肪球を含む汗をかく。それを生まれたての子が舐めて育つ。哺乳の始まりだ。人間は哺乳だけでなく、舌による「舐め回し」というホモ・サピエンスの特徴により、ものの形や大きさを長きに渡って繰り返された生命記憶と重ねて、空間や形状を認識していくのだ。

 

■6■舌で舐めることで種として蓄積された記憶の想起に留まらず、私たちの空間認識や距離感などはやがて、外部に突出した脳でもある手による撫で回し、さらには視覚による舐め回しなどで、遥かなる生命系統方向での蓄積と共有していく。したがって単なる論理や知性によって簡単に変わるものではない。

 

■7■これらの内臓記憶的な世界の捉え方、別の表現をすれば生命とほぼ重なってもいるミシャクジ的なものの全体を否定せず、内包しつつ古層にしゆく道を早急に模索すること。そのためにはまず、自らの内臓の在りようと重なる「心」と「生命」に敬意と慈しみを持ちつつ、そこからもはみ出して行くことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


スポンサーサイト

  • 2020.07.01 Wednesday
  • -
  • 06:45
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM