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猫のみかんマンション5階から落下



■今朝方のことだった。不燃ごみを抱えてマンションのドアを開けたその下端から、猫のみかんがするりと抜け出した。いつものように玄関前のエレベーター溜まりを一回りさせてから部屋の中に戻らせようと思いつつ見ていた。するとみかんが突然、隣家のベランダに不法侵入しようとジャンプした。冷たい雨の降る日だった。濡れた手すりの上で猫はつるりと足を滑らした。

■私は真横から見ていたので、手すりの向こう側でちょっと驚いたみかんの顔がすーっと下方に消えていった。何が起きたのかよく分からないまま、もう1匹の黒猫デルピーを家の中に入れ、早足でその場に駆けつけた。当家は5階建てマンションの最上階。下を覗き込んだが遥か下方の地上には何も見えない。ジタバタして途中の階に引っ掛かっただろうか?

■みかんが途中で飛び移ったかも知れないと、各階ごとの廊下とベランダの部分をくまなく探したが見当たらない。わずか30cmの隙間なのだが、地上の真下部分だけは土で植物が少し生えている。しかし辺りには何の気配もない。次元の狭間に消えた?現実がよく飲み込めないまま、そんな感覚が強かった。地上の周辺はマンションの狭い駐輪場。雨の中を探し続けてもいない。



■猫は雨に濡れるのが嫌いだから、塀の外にまで出向きはしないだろう。というより、本当に5階から落下したのであれば、無事では済まないだろう。途中に引っ掛かったのではないかと、何度も階段を登り降りして探して直してみたが、足跡1つない。誰かが見つけて病院に連れて行ってくれたのか?そんな暇はないはずだ。嫁さんも何度もマンション周りを探すが見当たらない。

■部屋に戻って再考してみた。階段部分と各階のベランダ突出部分との隙間部分はわずか30cm余りだが、途中階にはどうもいないようだ。やはり地上まで十数メートル落下したらしい。そうであれば、ショックで少なくともそう遠くには行けないだろう。階段の下の物置スペースはどうだ。何度も覗いたが見当たらなかった。しかしかなり暗くて奥はよく見えなかったはずだ。

■もし超常現象でも起きていない限り、落下現場すぐ傍の階段下の倉庫スペースしかないのではないか。懐中電灯を持って行き、これで最後と思って身を乗り出して奥を照らした。何か見たことのある毛皮が垣間見えた気がした。か弱く鳴く声がした。みかんらしい。怪我をしていないはずかない。どんな状況なのか?手を伸ばすが、ショック状態らしく、さらに奥に潜り込もうとしているようだ。



■回収すべく猫用のキャリングケースを取りに5階まで戻り、取りあえず再びライトを照らす。いない。部屋に戻った間にどこか別の場所に移動したのか?階段下の奥の奥、積み込まれた建築資材と地上と階段背面の間に10cmほどの隙間がある。そこに入り込んだのか。再度部屋に戻って手鏡を持ってくる。狭い。ほぼ地べたに横になる状態で、思い切り手を伸ばして、鏡とライトで裏を覗き込む。

■何かいた。見慣れた毛皮の白い部分が確かに動いたようだ。そこに到達するには、この腰も伸びない狭い共用スペースに詰め込まれた重い建材のダンボール箱を、いったん外に運び出さねばならない。症状も分からないので、ゆっくりしている暇もない。もうここからはTVニュースなどで時折見かける、穴ぐらの奥に落ちた動物の救出劇そのままだった。ただし誰も見ていない。孤独な作業だ。

■このマンションの張替えタイルらしいダンボール箱。1つ10から15kgほどだろうか。それが奥に沢山積み込まれている。腰を曲げても体が回らないほどの狭いスペースから、1つずつ取り出しては外に積み直す。すぐに腰が軋む。腕が痛くなる。みかんの顔が見えた。ぴったりはまり込んでいる。不安からかショックからか、みかんはさらに一番奥に潜り込もうとする。



■もう当方の服も体も結構ボロボロだったが、そんなことを気にかけていられない。最後は建材の入った箱を立体パズルのように少しずつ動かして、ようやくタッチ。要救出者確保!どうにかこうにか無事保護したのであった。みかんの身体チェック。どうやら重大な骨折はないようだ。先ずはキャリングケースに入れて、5階の部屋に運ぶ。のろのろとだがそこここを歩いている。

■取りあえずまた地上に戻り、表に出した建築資材や具材や道具を元に戻す。端から見たらかなり怪しい行動だ。またもや腰がきしんで悲鳴を上げる。雨なので自転車置き場に利用者が来ないのがせめての救いか。部屋に戻ってみかんチェック。どうやら奇跡的に大怪我はしていないようだ。動きが少しゆっくりだ。色々な匂いを嗅ぎまくっている。そう普段と変わらない。

■ひょっとしたら一時的記憶喪失状態かも知れない。デルピーがいつもと違う状況と知ってかおとなしい。一度はもう再びその姿が見られないかもと諦めかけたが、取りあえず目の前で普通に生きている。この猫は本当に幸運の塊に違いない。これは奇跡だ。別の意味での超常現象が生起したに違いない。私もまた自らを運が良いと思うことのできる幸運者と自認していたではないか。



■いや、しかし待て!と頭の中から理性の声。マンションの5階から落下したら、たとえ猫でもそれはまず死ぬ。今目の前で何事もなかったかのように生きていても、念のため病院に連れて行くべきではないのか?頭を強く打った場合は、その時は平気でも後になって効いてくることもある。骨は大丈夫でも、内臓に過負荷がかかっている可能性もあるのではないか?

■近所の犬猫病院はちょうど今日は定休日だった。どうする、どうする?そうだ、最初にみかんが避妊手術をした、本山にあるセラフィー動物病院に電話してみよう。すぐに連れてきて下さいとのことだった。もさもさと餌を食べ入ているみかんを取りあえずキャリングケースに押し込んで、車で向かった。病院のすぐ前の道で自動車事故があり、事故車が晒しものになっていた。

■病院の方々はみんな本当にいい人たちだった。動物が好きで生命を本当に大切にしてくれているのだということが肌で分かる。みかんがマンション5階から落下したのにこうして生きていることが、まさに奇跡で本当に良かったと喜んでくださった。念のために血液検査をする。交通事故や高所からの落下の場合、外的に影響が見られなくても、猫は特に肝臓に影響が出るらしいのだ。



■落下のショックで内部外部の細胞が潰れていると、肝臓が非常事態と判断してどんどん造血するので、その数値を見れば現在と今後の症状と傾向が分かるのだそうだ。血液検査の結果、かなり深刻な数値が出た。奇跡的だと笑って連れて帰るつもりだったのが、一転して点滴を続けながら、緊急入院することになった。数日は色々処置をしながら様子を見ることになった。

■危篤ではない。命に別状があるというほどでもない。しかし安易な予断は許されない。また笑い話やジョークで済まされるレベルでもない。5階から落下したのだから、ある意味それでもまだ幸運の極みだ。何日入院すべきかは明日になれば分かるだろう。明日また見舞いに来ることにした。自分が昨日から体調が優れないことを思い出し、帰宅後早々に横になることにした。

                             (…多分、続く)


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  • 2017.10.11 Wednesday
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  • 23:44
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コメント
ツイッター見てビックリしました。。
5階から落下・・・
そして無傷で見つかったと知って、心配と安心が入り混じって涙がどっとあふれてしまいました。
でもまだ今は予断が許されない状況だということで、何もありませんようにと祈るばかりです。
みかんちゃんは奇跡の猫ですね。
きっと大丈夫です!
  • mia
  • 2010/04/24 4:38 PM
■mia さん。

ご心配おかけしました。ほぼ無事のようです。強運猫であることは間違いないようですが、私の方がもう少しだけでもしっかりしなくてはと思いました。

あとデルピーが、いつも一緒の相方がいないまま何日もたっているので、そろそろ限界のようです。不安からかいつもぴったりへばりついてきますので、外出も極力控えております。

そんなデルピーとみかんも、来月頭のヌースDVD鑑賞会には元気な姿で走り回っていることと思います。今回はひょっとしたら、妖怪博士も名古屋に来ているかも知れません。あと、広島のあの物理のエラいひと(笑)Sさんと、その東京の友人(女性)も来られるようです。

miaさんにはご心配をおかけしました。奇跡の猫をまた見てやってくださいませ。
  • とーらす
  • 2010/04/24 6:01 PM
(*´∇`)ホッ

よかった。みかんちゃんすごいですね。
デルピーくんも心配だったでしょうね。

なんかとてもすごいことが起こったような気がします。
あー 本当によかった。

5月1日がますます楽しみになりました。
でも、もしもみかんちゃんの負担になるようでしたら、日を改めることも考えた方がいいですね。

妖怪博士とSさんのお友達に初にお目にかかれるのもとても楽しみです♪
  • mia
  • 2010/04/24 8:30 PM
タイトルを見てびっくりしました。私が京都に行っている間にそんなことがあったのですね。みかんちゃんは強者ですからきっと回復してくれると思います。
  • S
  • 2010/04/25 5:01 PM
■mia さん。

ふうさんともネット上で話しましたが、5/1のヌースレクDVD観賞大会は問題なく決行の運びとなりました。

みかんがしおらしくしているのか、以前にもまして大胆になっているのか、チェックしてやってくださいませ。
  • とーらす
  • 2010/04/25 5:59 PM
■S さん。

お騒がせしております。本日午前、無事退院してきました。私の私の体調不良もぶっとびました。
今は仲良くいつもの別々のお気に入りのねぐらで寝ております。
5月1日には奇跡的生還をした愚猫に会って、ちょっとしっかりするよう言ってやってください(笑)。
  • とーらす
  • 2010/04/25 6:00 PM
トーラスさんの心労ご察しします。
何はともあれ、みかんちゃん、無事でよかったですね。
お見舞いにヌースのお水を送ります。
こっちはようやく熱も下がり、今日からルーティーンに復帰です。
  • Kohsen
  • 2010/04/26 11:54 AM
■Kohsen 殿。

ありがとうございますです。

左脳側では常にヴィラソーソークル(あのトーラスの斜め切断で表れるヌースコンストラクションっぽいというか、ベシカパイシスっぽい対重円)のことを考え続け、右脳では常に猫のことを考えていたら(あ、左右逆かもしれないなあ)、いろいろと別のアングルから世界を見る目も増えたような気がします。

そちらもψマンションの13階辺りからの転落などにご注意ください(…て、オチないか)。
  • とーらす
  • 2010/04/26 12:11 PM
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