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  • 2024.01.09 Tuesday
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たまには「蕩病」日記でも



■14日に勃発したチベット暴動の日から風邪の兆候は出始めていた。すでにそれから2週間。風邪の症状は絶対安静的な最悪ゾーンは抜けて、少しずつではあるが回復傾向を見せている。またやりたいことをしっかりするという強い意志がなければ、多分とても長引く体力低下状態であろう。そんななか好天が続くので満を持して久しぶりに散歩してみることにした。何より桜が一気に満開になり、今年はじっくり見ていないのである。

■ローカルな地名を出して恐縮だが、私の家は名古屋は昭和区というところの御器所という地下鉄の駅のそばにある。そこから徒歩で太陽に面と向かって桜の名所のひとつである鶴舞公園方面にそろそろと歩を進めていった。地下鉄にして2つの距離である。公園の端には古墳などもあり、桜が満開で人々が三々五々そぞろ歩きしていた。穏やかな春の昼下がりである。しかし公園の中に入ると電子音の大音響が空気を圧していた。

■ちゃんと許可を取った若者たちのロックコンサートであろうか。風邪で弱っている身体にはこの音はたいそうきつい。頭がぐわんぐわんしてやりきれない。耳をふさぎながら迂回する。老人たちに対しても迷惑千万であろう。実際に演奏していた人たちに対しては失礼だが、はっきり言うと下手なのである。だからなおさら暴力的なのだ。それはまあ大目に見るとして、公園の逆の端まで来ると、人々が多数歩き屯し騒ぎ笑っている。



■出店も出て、健康体ならさぞかし面白いかも知れないが、ふらつく身体にとっては腰を下ろす場すらないので、仕方なく大木の根元へへたり込む。ちょっと病的なフィルターのかかった桜の図はそれでも美しかった。日本人にとって花と言えば桜ということになっているが、桜の大木の下でいつまでも死体のように横たわっていたいものだとつい幻想してみる。もっとも人が多くて近寄ることもできなかったのではあるが。

■鶴舞駅をさらに過ぎて、ゆっくり腰を下ろして休める喫茶店を探してさらに歩いた。立ち止まっていても疲れるのである。禁煙スペースのある喫茶店を探して歩いたのだが、それがなかなかない。街角でちょっと佇んでタバコをすう人たちがとても苦々しく思えた。大自然の中でもない限り、タバコをすう者はタバコをすわない者に一方的に被害を蒙らせている。車を運転する者は車に乗らない者に一方的に被害を蒙らせている。

■弁明や世界の複雑さを論じて自己正当化する者もいるかも知れないが、今この瞬間タバコの煙を吸い込んだり排気ガスを掛けられて、10分も20分も呼吸困難なまでにむせて咳き込んで苦しむ可能性のある者としては、そのような話を聞く余裕もない。そんな体ならひょろひょろと街中に出てふらついているなよといわれるかも知れないが、それはそれで懸命なるリハビリ中の者に対する余計なお世話というものだ。ゲホゲホン…。



■結局腰や体のあちこちが痛いので、大須観音というところから地下鉄鶴舞線に乗って御器所まで戻ってきた。車中も花見客が多いからか混雑しており、座席に座る余地もなかった。人々の顔を改めて見る。そこはかとなく春の喜びが霞のように掛かっている気がする。春は好きだ。桜の花の前に来ると、特に花の1つ1つが美しいわけでもないけれど、全体としての存在感、上昇し行くようなエネルギーがやはり好ましい。

■帰宅後寝込む。刷り込み済みの自業自得だから、ひたすら寝て直す。ライトスタッフの藤本氏が送ってくれたルチルなるものを飲む。これは結構凄い効き様である気がする。体重を測ってみた。6kg以上減っていた。ちょっとヤバい。ひたすら日光に当たる。ひたすら猫に癒される。治る気はあるのか?ある。体からよくもこれだけ水分が出るものだ。どんどん水分補給。本当に良いものとよからぬものが弱っているときは結構分かる。

■まずは体重を増やすべく、栄養のあるものを少しずつでも摂取しなくては。まずは猫と遊び続ける体力を回復しよう。次に桜の花をしっかり見送ろう。もちろん自分の考えていることをしっかりまとめる作業も怠りなく。窓の外の日の光のまぶしさ、暖かさ。空の青を鮮やかに風が横切る。…さて、読まれた方が過度に不快を感じなければ良いのだけれど。健康は絶対に回復しますので、どうぞご心配なさらずに。過程を結構楽しんでいます。

(なお桜画像は鶴舞公園ではなく山崎川の桜です)

相島はゆったりした猫の島



■旅の疲れもあったのになぜか朝早めに起きたので、今日を有意義に使うべくお礼の書置きをしてコーセン邸を8時半に出立した。タクシーで博多駅に向かう途中、SACCOさんから携帯メールがきた。これから猫がたくさんいると教えてもらった相島へ向かうところだと伝えると、自分はちょうど通勤途中ですぐ近くを通るとの言う。そしてこちらが博多駅構内の観光案内所で行き方を尋ねているうちに目の前に出現する。

■全くもって直観に素直なのが一番早いということの生きたサンプルを見ているかのような、テレパシックなシンクロニシティ使いである。もっともこれも一方的に成せる業ではないので、必然的に当方も巻き込まれているというか、当事者なのではあるけれど。これもまた明るく肯定的なので、DAI氏共々実に近未来的コミュニケーションのモデルとしても好感が持てる。最後の挨拶を交わしてから別れた。

■さて相乃島行きのメンバーはチョコボっち、甲田妖怪博士、ミカどん、私の4人だ。JR博多から鹿児島本線で筑前新宮に向かい、そこから渡航場までタクシーを走らせた。到着して10分もまたずに船は出発した。片道460円なり。島民や釣りをする人たちの貴重な足であることは間違いないのだけれど、街中や遊園地などで擬似絶叫マシーンや異体験ゲームを味わうよりはよほどリーズナブルな遊行でもあろう。



■海は茫漠とした靄がかかり、これまたどこに行くのか分からない不思議な感覚である。相島は猫密度が高いので、大学の教授がその生態を研究観察して、山系・港系など4つのグループに分かれていることを見出したという。やがて霧が晴れて見えてきた島は、想像より少し大きかった。海の水が青く透き通っている。次に島から船が出るのは午後2時。案内図を頼りにゆっくり島を巡ってみることにする。

■烈氏は島の反対側にある穴観音に着目する。他にも遠見番所跡や龍王岩など見所はかなりアルけれど、私がこの島に来た理由は沢山の猫と遭遇して画像に収め、かつ交流を図るためである。まずは渡船場から時計回りに歩き始めることにした。すると早速猫たちに遭遇した。人家の近くの猫たちだ。龍王岩を回り込んで山のほうに登り始めると、茂みの中から2〜3匹が出てきて道を渡って上って行った。

■遠見番所跡の灯台や貯水場などを通ってもくもくと歩くが、それ以降は猫の姿を見かけない。山にはいないのか、それとも昼寝の時間なのだろうか。走行しているうちに岩宮神社とその背後にある穴観音に辿り着く。崖を降りて下の観音まで拝んできたけれど、猫は一向に見かけないままである。島をぐるりと回るのをやめて港側に行く道を進むが、道なりには特に景観の良いところがあるわけでもない。



■学校のあるところまで降りてきてから、島の人たちの居住地域を進み行くと、猫たちと遭遇し始めた。気の強そうな猫、優しそうな猫、おっとりした猫、警戒心の強い猫、そしておなかに子供のいる白猫など、次から次へと姿を見せてくれる。お土産屋の干物をと思ったが水曜定休で閉まっていたので、漁協の売店で島特産のちくわとかまぼこを購入して猫に与えた。しかし塩分が多いので与えすぎは良くなさそうだ。

■図に乗ってちぎっては与えしていると、猫たちが来るわ来るわで制御できないくらいになるので、気をつけなくてはならない。港に戻って釣り人に小魚を与えられる猫等をぼーっと見ていても、船が出る時間まではまだかなりあるので、久しぶりにゆっくりした時間を体感することができた。それにしても連日よく歩いているので足が痛い。猫満喫、猫エネルギーチャージである。ぜひぜひまた訪れたいものである。





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福岡県東奔西走編は以上にて終了。

柳川から天神へ、そして猫



■昨晩は長老宅でゆっくり過ごさせてもらった。彼は以前3年ほどUAE…アラブ首長国連邦のドバイに住んでいたことがあり、そこを拠点にヨーロッパなどもあちこち旅行したらしい。チョコボ氏がPCに設定してくれたグーグルアースを使ってドバイの町並みや建造物などを見て、驚きつつ懐かしがっていた。実際、数年前までは思いもよらなかったような世界が次々と開けている。本当にすごい世界と時である。

■携帯電話ひとつ取ってみても、ここまで人々の生活に不可欠なまでに浸透するとは思ってもみなかった。GPSやメールや赤外線によるデータ通信など、今回の旅行で実に重要なアイテムとなっていることに気づかされた。歳を取ると多機能が覚えられないとか短縮言葉の風潮が不快だとかいう以前に、老眼だから実際に文字が細かすぎて見えないので苦手だという。新聞用、携帯用などと老眼鏡も何種類もあるそうだ。

■そんな長老が、12時頃の特急に乗る前に少し早めに家を出て、この時期に筑後川の堤防を一面黄色にして咲く菜の花を見せてやると言った。しかしなぜか今年はほとんど刈り取られてしまっているかのように花がない。黄色の堤防を見せたくて少し遠くまで車を走らせすぎて、あやうく電車に載れなくなるところだったが、もてなしの心は十分頂いた。家に戻ったら『超ねこ理論』を送らせて頂くことにしよう。



■午後1時に天神に到着した私たちは、博多から地下鉄で移動していたみかどんとも携帯メールですんなり合流した。そして夕刻、コーセン宅に戻る前にSACCO&DAIの2人と、またもや「獏」で少しだけ話をすることになっていた。時間があるので天神から中州界隈を散歩してみる。屋台で美味いものを食べたかったのだが、開店が午後6時半なのでそれも叶わなかった。それにしてもこの界隈は独特の雰囲気がある。

■やはり海と川という水に恵まれた街であり、高い建物が多数あるのに空間が広く感じられる。また建物も画一的でなく、それぞれがユニークな形状をしている。道も広く、鳥や緑が視界から外れない。細部を精査すれば様々な問題点などもあるのだろうが、ロングに引いて見ればおしゃれなのに気取らない素敵な街に感じられる。まあ夜の中洲を歩いていないので、明るい部分だけの感想ではあるのだけれど。

■天神中央公園に面して段々な形に植物が植わっているアクロス福岡という建物があるが、その裏側に水鏡神社がある。名前に惹かれていってみると、菅原道真公が川を水鏡とした言われのある神社だった。後に黒田長政がこの地に移し、現在の福岡天神の地名の由来となったという。そういえば名古屋の私の住所も天神町だったっけ。須崎公園の猫たちに会ってから獏へ。そして最後のコーセン邸へと向かった。

20080311(つづく)

「大川昇開橋温泉」



■昨日の夕刻に天神から西鉄特急に乗り、柳川に到着したのは6時少し前だった。昨年お邪魔した能登同じメンツで、駅まで迎えに来てくれた長老の車にる。長老の手作り夕食を頂いてから私はビール、長老は焼酎を、そして残る2人は酒を飲まないまま飲み会モードに移行する。長老は普段はあまりないであろう哲学や宗教や異界と現実の話などで、久しぶりに若かりし頃のモードで盛り上がってくれただろうか。

■長男が今春大学に進学する学費の捻出や、一向に好転の兆しすら見せない昨今の投機経済の余波など、いろいろと大変な状況下らしい。しかしそれでもちゃんと家庭を維持し、子供達を健やかに育てているという歴然とした事実には、それとは円のない者として尊敬の念を禁じえない。長老は酔って金を儲けたら私にも驕ってやるので待っとれと言う。彼が長生きすることを条件に待っとるよと酔頭同士で約束した。

■そして一夜が明けた。長老は昨日かなり飲み過ぎて、家族みんなの朝食とお弁当を作ってから再び撃沈していたらしい。私は午前8時頃に起きて、これまでのまとめをしていた。昼過ぎに3食をきっちり食べる若い胃袋の甲田博士が階下に降りて行き、長老御作の遅めのブランチを誘引する。食後に長老がお昼から近所に新しくできた「大川昇開橋温泉」という日帰り温泉施設に行ってゆっくりして来んかねと言う。



■3人まとめて長老が車で送ってくれたこの施設は、現存する大川昇開橋のすぐ傍にあった。この橋はかつて大きな船が通り抜けられるように、定刻になると橋梁の一部を線路ごと昇降させていた旧国鉄の施設だ。この温泉に入ると窓際の源泉浴室や外の露天風呂からそれがよく見える。ところでこの温泉はまだ温泉本や温泉HPなどにはまだ載っていない。去年6月にオープンしたばかりの施設なのだが、これが実に良い。

■掘削湧出されたナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉の源泉を、循環装置なしに掛け流しされているのだ。新しい温泉施設はこのように源泉重視の造りなので有り難い。泉温は72.0度Cとかなり高い。湧出量は毎分260リットル、知覚的試験は湧出時は無色透明・無臭で塩味があるが、数分後には淡黄色になる。pHは7.5と比較的優しい。平日の昼間ということもあるのだろうが、何といっても客が少ないのが良い。ラッキーなのか?

■1kg中の成分は陽イオンがナトリウムイオン1500mg、カリウムイオン47mg、カルシウムイオン13mg、マグネシウムイオン5.0mgなどで総量1568.5mgある。また陰イオンは炭酸水素イオン1800mg、塩素イオン1200mg、フッ素イオン13mg、炭酸イオン4.3mg、臭素イオン3.1mgなどで総量3022.2mgある。また遊離成分としてメタ硼酸130mg、メタ珪酸67mg、遊離二酸化炭素110mg等もある。要するにかなり濃いのだ。素晴らしい。



■地理的には柳川駅、佐賀駅、佐賀空港のそれぞれからタクシーで約20分ほどの距離にある。時間が合えばこの昇開橋を通ることもできるのだが、この日はちょうど周に1度の運休日だった。帰り道は小一時間ほど筑後川河畔の道を歩いて帰ってみることにした。チョコボ氏の携帯のGPSを使って地図と距離と現在地を出し、まるでGPSがあれば目はいらないとでもいう状態で最短距離を通って長老邸に辿り着いた。

■夕食は肉じゃが、ホウレン草の白びたし、キンピラごぼう、だご汁…、長老の力作だが、昨今ごはんが実にうまい。長老宅にもう1泊させてもらってから、明日は天神方面に戻って新幹線で博多にやってくるミカどんを迎撃することになる。彼女のキンは「白い電気の風」だ。旅の最初の夜に「白い共振の風」のふう氏が来たけれど、最後の夜はやはり白い風が吹くというわけだ。長老、ほんまごつ感謝ばしちょいます。

20080310(つづく)

香椎宮の不老水と「あかしや」創設



香椎神宮と不老水

■駐車場に戻り、自然食品店の中で試食したりしてから、車で近くの香椎神宮に移動する。ムタダ池でもそうだったが、移動するたびにパラパラと雨が落ちてくる。この宮のマークは十六菊の紋であり、しめ縄の形も少し独特だった。正面から入って案内図を見ると境内は案外広い。博多湾の海ノ中道の付け根あたりに位置しているが、どうもこのあたりの山や町も含めた広い地域も含めて香椎宮というらしい。

■そういえばこの香椎宮の背後にある山の名前は、昨日行った温泉施設でも名を冠していた花立山だった。山頂がなだらかではなく幾つかの小山になっているので、SACCOさんは猫の耳のように見えると言っていた。休憩室で情報を収集してから、この宮の後ろにあるという不老水の湧出地に行くことにした。境内の囲いから出るとすぐに、故意にかと疑うほどにアバウトな地図の看板が立っていた。徒歩7分と書いてある。

■それに従って最後の鳥居を潜ると方向を示す案内柱があったのだが、その根元に「これわからんよ」とマジックインキで書いてあった。一同納得して大笑い。降り始めた雨の中を示された道なりに2〜3分歩いていくと、すぐにその汲水所があった。あの看板の7分はどうも老人の足の速度での表記らしい。とりあえずみんなでコップ1杯ずつその不老水を有り難く頂く。癖のないピュアな感じである。

■近所の人たちが後からポリタンクを抱えて汲みに来ているのが見えたので、早々に場を譲ってその場を離れる。すぐ外のあやすぎ醤油(綾杉)の看板をつい「あやしすぎ」と読んでしまった。帰り際にみんなでおみくじを引いてみた。みんな番号違いもあるが「吉」だったのに、DAI君だけは「大吉」だった。不老水のおかげかどうかは分からないが、私たちは頭痛や風邪気味な不調がなくなり元気になった。

20080309-2



不思議探検グループ「あかしや」

■雨が降ってきたので車でSACCOさんが行きつけの喫茶店に移動して食事を取ることにした。その後喫茶しながら随分と長いこと話をした。最後の方でSACCOさんが持参のエジプトの画像・イラスト集を開いてみんなで見た。それぞれ目をつけるところが異なっていたりするのが面白かった。最後にこのように不思議なことを研究したり実地検分したりする「あかしや」という名のグループが創出されることになった。

■「あかしや」と読んで「証家」でも「あかし家」でも「明家」と書いてよい。アーカシャの記憶や謎や記憶喪失をどんどん明らかにしていくという意味も含めたネーミングである。その参加資格は誰にでもある。猫でも妖怪でもある。唯一会員資格を剥奪されるのは、1つことに専門特化して広く世界を見なくなった場合。広くとめどなく普遍化方向にあらゆるものを自然に取り込んでいくこと。

■各自自己申告の会員番号を有することができる。数字でなくてもよい。チョコボっちは「白い犬」のワン、つまり1番を勝手に割り振られる。烈氏は妖怪の立ち現れる場所である√2、私はメガリス幾何学の366あたりかな。SACCOさんは13番でDAI君が20番なのは、彼女の紋章番号が13番目のハーモニックランにあり、彼は20番目の黄色い太陽であり、また生年月日も13日と20日だから。2人あわせれば2013である。

■雨に閉じ込められたかのようにその店でいろいろと話していたが、福岡県の反対側にある柳川に住んでいる大学時代の友人「長老」に今夜の宿を頼んであるので、車で天神まで送ってもらってから5時発の西鉄特急に乗った。柳川に到着したのは6時少し前だった。怪異スポット探索から現実でしっかり教育者として実績を積んできた長老宅へと、段差なく自然に接続しているこの世界と私たちの意識は実に面白い。

20080309-3(つづく)

博多市東区の六田々(ムタダ)池



■10時少し前、ホテルのフロントにDAI君がマイカーを運転して迎えに来てくれた。7日夜に天神の「獏」で話をして盛り上がり、結果として博多東区の怪異スポットに案内してくれることになったのだが、昨日の強行軍のせいもあってか、チョコボ氏は右側の頭が痛いと言っている。これは風邪の連鎖反応なのだろうか、かくいう私も少し頭痛があるが、肯定的楽天主義で乗り越えられると踏んで気楽に出発である。

■SACCOさんの地元でもある東区にはキャットピープルと称される、頭も人も良いのだが俗世的な振る舞いがさほどうまくない人たちの人口比率が高いなどという話をしているうちに、DAI氏の左ハンドルの車は自然食料品店の駐車場に滑り込んだ。そこから道路を挟んでちょうど向かいにある池が、SACCOさんが子供の頃に岸辺にいた子犬がカッパのようなものに引きずり込まれるのを目撃したというムタダ池だった。

■池の対岸に見える一部凹んだ入り江部分を指して、あそこがカッパの住みかに違いないと思いますと彼女は言う。そう言われてみると、風が起こす水面の波の流動方向がそこだけ逆向きだったりして、確かに不思議な空間のようにも思える。池の左側に回り込んでみると、まずフェンスのすぐ際に子犬が引きずり込まれたという現場があった。そして土手の手前にはなにやら小さい石碑がひっそり立っていた。



■表面には文字が刻まれていたようだが、磨り減っていてよく読めないので、鉛筆で魚拓のようになぞってみる。ぼんやり「樺(?)宗國衛士口…」とも読めるがその実は分からない。河童と相撲を取った人の名前かとか、供養の碑だとか言ってみるが、その実良く分からないので、丁寧に挨拶をしてそこを離れる。何とかその先ほどの入り江部分に到達できないかと左に回りこむと、自然の中に小道が続いていた。

■思いがけず子供の頃の山歩きや秘密基地探検のような気分になり、どんどん道なりに辿っていくとついに先ほど対岸から見た小さな入り江に辿り着けた。すぐ裏にJRの線路が走っているので、そちら側からは普通入り込むことはできない。住宅地の中の遺された自然保護区である。一部不快水路のような部分があるが、透明度が低いので水面下は分からない。神妙な顔で写真に撮ってから戻ることにした。
 
■池の周りには「あぶない!この付近で泳いだりしてはいけません」という類いの看板が多数立っているのだが、みなカッパに引きずり込まれかけている子供のイラストが描いてある。聞けば北九州では水辺での事故を防止するためのこの手の看板には、みなカッパが描いてあるとのことだ。実在の有無はさて置くとして、その象徴としてのカッパは今でもしっかり生きているというわけだ。異界への入り口。



■カッパそのものよりむしろその場の醸し出す雰囲気を確かめに来たという甲田氏は、かなり満足して体調不良もかなり吹き飛んだようだ。チョコボ氏は電子機器を駆使して記録したり、サポートしたりしている。ドリスペの紋章と音程をプリクラ仕様のシールにして打ち出して、SACCO&DAIコンビに大いに喜ばれていた。彼のGPSも大いに役立っている。今でなければできないことは実に沢山あるものだ。

20080309-1(つづく)

花立山温泉「カルナパーク」



■この日も昼を回ってからコーセン邸を出立して、東九州地区で日帰り入浴施設では満足度ナンバーワンの施設だという「カルナパーク花立山温泉」に向かう。西鉄で平尾から小郡まで移動して、そこから甘木鉄道に乗り換えて山隈へ。目的地まで少し距離があったのでそこからはタクシーを使おうと考えていたのだが、いざ下車してみるとタクシー乗り場も何もないことが判明。しかたなく歩いて行くことにした。

■通りすがりに女の子2人が「こんにちわ」と明るく挨拶をする。素朴でのどかな田舎道を歩くのも悪くないななどと言いつつ、ネットで調べた心もとない地図とチョコボ氏の携帯電話のGPS機能を頼りに進んでいくと、道は幹線を外れて林や沼の間を抜けるか細い山道へと続いていた。迷走気味な自然散策の果てに、ようやく小高い丘の上に目的地を発見。ぐるりと迂回してから葡萄畑を突っ切り、裏口からの入場となる。

■土曜日の午後ということで人気の「カルナパーク花立山温泉」の駐車場はほぼ満車状態だった。お風呂の中もさぞかし混んでいるのだろうと思っていたが意外にも空いていた。実はこの見晴らしの良い露天風呂は男女日替わりなので今日入れる確率は1/2だった。自らの運を再確認しつつそこで1時間半ほど3人で話し込んだので、しまいには消毒用の塩素のせいか体のあちこちが痒くなってきてしまった。



■ここの泉質は分類上はアルカリ性単純温泉で源泉温度は37.9度。湧出量は毎分800リットルで、pH9.8の湯の感触は少しぬるりとしている。無色透明・無臭だが味は塩っぱい。掛け流しのようにも見えるが、加熱消毒循環ろ過もしているようだ。これだけ多数の人が訪れるのと、福岡県の温泉条例によってせざるを得ない事情もあるのだろうと思われる。しかしここの1人1000円のバイキングは気に入った。

■また残念ながら部屋は満室だったが、チェックインは午後9時からで、朝食も部屋付きの家族風呂もついて3人だと1人4000円で泊まれるここの宿泊システムもリーズナブルだ。温まる下半身とは別に風に吹かれて寒さを覚えた露天風呂のせいか、烈氏は風邪と花粉症の合併症状らしきくしゃみを連発する。私もなぜか頭痛がかすめたので、取り急ぎ博多に戻って駅の近くで宿を取り、早めに温かくして眠ることにした。

■タクシーを呼んで山隅駅に到着すると、基山行きは出たばかりだった。しかたなく寒い待合室で待ってから、ようやくやって来た車輌に飛び乗ったら、実は逆方向というベタな悲劇を演じてしまった。終点甘木で折り返し、反対の終点である基山まで移動してから、JR線に乗り換えて博多に向かった。この鹿児島本線の中では、チョコボ氏と烈氏は、温泉に浸かって疲れから緩んで巡航型超爆睡モードへ。



■博多到着が9時少し前になってしまい、そこから週末の大都市駅前のホテル探し難民行が始まった。小一時間ほど彷徨い探した挙句、結局駅構内の近在案内地図にあるホテルの電話番号に端から電話を入れて、ようやく少し離れた百年橋通りにある「ホテルルートイン博多南」に部屋を取る。6200円なり。ホテルは安い部屋から次々に埋まっていくという当たり前のことを再確認する。博多は大都市なのである。

■振り返ればこの日は最初から最後までハードな日だった。甲田氏は風邪と花粉症の先駆けを内包しつつずっと歩き回ったので、心身ともに厳しかっただろう。特に最後の博多駅前宿探しの難民彷徨はしんどかったはずで申し訳なかった。最後は私まで少し頭痛がして風邪の気配を感じてしまい、翌日にそなえて温かくして早々に眠り入った。明日は甲田氏期待のムタダ池&不老水のある香椎神宮行である。

20080308(つづく)

天神は親不孝通りの喫茶店「獏」



■今回の旅ほど携帯メールを掛け続けたのは初めてだった。初日は甲田妖怪博士が東京から、チョコボっちが京都から、私は名古屋から、各自バラバラに夜行バスで博多入りして現地集合というプランだったのだが、急遽思い立って新幹線に飛び乗ったふうさんも含め、錯綜し気味の別個な情報を1つところに収束させるのに少し苦労した。もっと若い人ならあっさり解決できるのかもしれないがいい経験だった。

■昨日はどうにか各自の時間と空間をより合わせて、ヌース理論つながりで共通の友人であるコーセン氏のところに雪崩れ込んでお世話になった。仕事をこなして帰宅したコーセン氏は、疲れもいとわず話に参加してくれた。感謝にたえない。最近『人類が神を見る日』という本を10年ぶりに加筆したアドバンスドエディションを出し、現在は某N社のアメリカ支社からこの本の英訳本が出る直前である。

■ドリームスペルでは「白い共振の風」という名を持つふう氏は、まさに風のようにやってきて朝方まで話をし、眠らずにそのまま朝の新幹線に乗り、風のように東海方面に帰っていった。諸氏とも腹を割って臓腑を曝け出すかのように真剣な対話ができて良かったのではなかろうか。なかでも特に自らの体験も含めて、朝まで真剣に話をしてくれたコーセン氏には頭の下がる思いだ。こちらも大いに頑張らねば。



■朝まで話をしたのでお昼まで寝床を離れることができず、狙っていた近くの温泉に行くことが叶わなかった。しかたなくゆるゆると起き出して天神に出向き、烈氏が購入を考えている新しいデジカメの見繕いに付き合った。その後しばらくネットカフェで時間を潰してから、私の『超ねこ理論』を愛読してくれているという嬉しくもありがたいSACCOさんとDAI氏の若きカップルと会うべく喫茶店「獏」に移動した。

■少し遅れたことを恐縮しながら登場したSACCOさんとDAI氏は若く細やかだが力強い独特の感性の持ち主だった。眼前に顕現するテレパシックなシンクロニシティに驚いて翻弄されるだけでなく、自らそれらを意識的かつ肯定的に取り扱うことも不可能ではなさそうな、不思議なコミュニケーション能力の持ち主である。そもそも彼らの最初の出会い自体が、夢と現実の間の不思議で超常的なものらしい。

■知り合いになって話をしているうちに、そのシンクロや夢と現が交差するかのような出来事がひとごとではなくなっていき、気がつくと巻き込まれて自分もまさにその世界にいたりする。放り上げると光を発しながら反転する対の正4面体構造のボールをお土産に頂いた。これすらも独特な品揃のビレッジバンガードという本屋で、まるで非売品のように物の影に隠れていたものを発見して購入できたものらしい。



■とにかく全ての猫が大好きであることに一匹たりとも例外はないという点や、万が一猫に殺されるような状況になったとしても、それでも猫を愛しているであろうというような感覚を持つことの実感共鳴があってとても嬉しく、また元気付けられた気がする。またSACCOさんの住んでいる地にある怪異な場所や神聖なる土地の話題も出た。特にカッパが住んでいるに違いないという池の話には甲田氏が食いついた。

■彼の引き寄せ体質(?)のせいなのだろうか、甲田氏と共に行動するとなぜか私もカッパや妖怪がらみになる。今回の旅もずっと水に絡んだ系譜のものを意識することになるのだが。この日も友人宅に宿をお願いしてあるので、夜遅くになる前に後日実際に案内してもらう約束をして店を出た。すると道を挟んですぐ前にカッパの像があった。「親不孝通り」は「親富孝通り」と名前を挿げ替えてもやはり面白い。

20080307(つづく)

ほうじょう温泉「ふじ湯の里」


れっつとらこぼ・猫と怪異と温泉と/in 福岡県…2008年03月06〜12日



■午前8時過ぎ、名古屋から乗った高速夜行バスで福岡天神に降り立つと、先着していたチョコボ氏が目の前にいた。とりあえず近所の喫茶店に入り、早速「地球暦」に13の月の暦トッピングの件の打診をする。地球暦は杉山開知氏が創出した近未来的な実用暦だ。それにイラストレーターのレイヤーで1つ13の月の暦を乗せるのにどれくらいの手間隙が掛かるか尋ねてみたのだ。どうにかなるかもしれない感触である。

■その後さっそく温泉攻略作戦開始だ。今日は調べてきた掛け流し日帰り温泉施設の中から、評判の良い「ほうじょう温泉ふじ湯の里」に行くことにした。地下鉄でJR博多まで移動し、朝の混雑も引けた駅のホームから10時5分発の快速列車に乗った。博多から直方まで行き、そこから平成筑豊鉄道に乗り換えて金田までのローカル線の旅である。目的の温泉はそこからさらに車で5分ほどのところにある。

■当地は窓越しの日差しが温かいというより暑い…などと座席でPCに打ち込んでいたら、窓外の景色に積雪が見え始め、少しずつ深くなっていく。城戸南蔵院前という駅のホームなどは数センチも積もっていて真っ白だった。確かに福岡県は日本海側なのだ。車窓の雪景色についてリアルタイムで細かく記述しようとしていると列車は突如長いトンネルに入り、そこを抜けると雪はもうなかった。あとはもう筑豊ののどかな景色。



■それにしてもこの平成筑豊鉄道という路線は名前の通り平成になってからできたのだろうか。駅舎も車輌も新しくきれいである。そして平日の昼間であることもあるが、総じて乗客は少ない。JR東海で例えるならば、浜松−静岡間とか米原−大垣間のように、老朽化はしていないが少しくたびれた感のある車輌が走っている地域もあるが、JRに限らず九州の車輌は総じてみなきれいだという印象を持っている。

■この平成筑豊鉄道は車内で申告すれば温泉の割引券をもらえる。金田駅で下車すると温泉行きの9人乗りワンボックスカーがいた。これらは金額よりサービスシステムの気持ちが有り難い。交通費は博多−直方が910円、直方−金田が310円であり、入浴料は500円なのだが玄関の下駄箱が10円なのでこれまた510円かかる。この微妙な10円が今日のポイントかも知れない。もっとも温泉は50円割引で450円だったのだが。

■さて尊敬する温泉研究家の郡司勇氏によれば湯脈が実に良いというほうじょう温泉だが、彼が訪れた後に改築されたものらしく、現在の建物はすこぶる立派である。内部には湧出温度が36〜38度Cの褐色の濁り湯の源泉をそのまま非加熱で掛け流しにしている大きな浴槽がある。じっくり浸かっているにはほど良い温度である。半分眠り状態・半分瞑想状態の数人の人たちに混ざって、1時間ほどゆっくりすることができた。



■泉質はナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉で、オフィシャルの湧出量は毎分400リットルだが、少し湯量が落ちてきているらしい。ほかにも広めの洗い場の他にジャグジー風呂や加熱した源泉風呂やサウナと水風呂などもある。外には露天風呂のほかに壺湯が2つ、そして井戸水を塩素消毒して沸かした約2〜3名用の白湯の湯舟まで1つあった。露天からは遠くには福智山だろうか、山頂に雪が乗っている山も見える。

■成分表によると陽イオンがカルシウムイオン40.3mg、マグネシウムイオン31.0mg、カリウムイオン10.3mg、微量の鉄・アルミニウム・ストロンチウムのイオンも含み合計493.6mgだ。陰イオンは炭酸水素イオン661.0mg、塩素イオン355.0mg、硫酸イオン31.0mg、炭酸イオン2.0mg、フッ素イオン2.1mgで合計1051.1mg。さらに遊離成分はメタ珪酸129.omg、メタ硼酸29.9mgなど、溶存ガスは遊離酸化炭素50.0mgとなっている。

■この地域ではこの良質な源泉を豊かに掛け流ししている施設は少ないので、平日の昼下がりでなければもう少し客が多いものと思われる。博多に戻りつく時間を気にしなければ、さらに何時間も浸って過ごすことができただろう。しかしこれから天神を徘徊中の甲田氏、突如参加表明をして新幹線に飛び乗り博多に接近中のふう氏と西鉄某駅で集合しなくてはならないのだ。ところが携帯メールがうまくつながらない。大丈夫か?

20080306(つづく)

■ねこまんが「猫地球暦UFO飛来す!」
















































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