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彼岸花 小路燃やして 空高し
- 2008.09.30 Tuesday
- ■日々の記録
- 19:49
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- by 小野満麿
手に持てば束ひんやりと曼珠沙華-----加藤三七子
■先日、義母がたまたま近所でも開かれているカラオケ講座に来たので、終了後に嫁さんと3人でお昼を食べた。義母は様々なお稽古事の他にカラオケ教室にも長年通っていて、かなりの腕前…というか喉前だ。その義母がふと道端に咲いている彼岸花を見て、子供の頃「この花を取って家に持って帰ると火事になる」と友人に言われて驚いたそうだ。三重の人も岐阜の人もうちのところでもそうだと言っていたらしい。
■しかし義母はそのことを知らないし、長野の人もそれを知らなかったとか。愛知県では場所によってそのような言い方をするところとしないところがあるらしい。私はそのような話を聞かななかったけれど、全国的にはどうなのだろう。血の色のように赤い花だから不吉視されたのかも知れないが、人間の感覚や直観によるのか、それとも単なる「黒猫が前を横切ると不吉」のレベルなのか分からない。
■「持って帰ると 家に死人が出る」など様々なバリエーションもあるらしい。鱗茎に毒があるので、たんぼの畦や畑や土手やお墓のまわりに植えてモグラや野ネズミに掘り返されるのを防いだとも言われている。死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)、剃刀花(かみそりばな)などという別名を見ても分かる通り、子供たちを嚇してその毒性から遠ざけるためにの民間の知恵だったのだろうか。
■日本にあるのは中国から伝わった1種の球根から日本各地に株分けの形で広まったというのが定説らしいが、一番有名な別名である「まんじゅしゃげ」は「曼珠沙華」と書くのだが、法華教の『摩訶曼陀羅華曼珠沙華』(まかまんだらげまんじゅしゃげ)からきており、「天上の赤い花」と言う意味らしい。昔、山口百恵が「まんじゅしゃか」といって歌っていた曲があったが、梵語の発音はそちらの方が近いらしい。
■しかしこの花はただ忌み嫌われるだけの不吉な花というわけではなかった。球根は毒抜きをして食用になるし、仏教でも昔は大切な仏花であり生け花でも用いていたとのことだ。ある日突然茎が伸びてきて、葉もないままの茎が垂直に立ち上がり、鮮やかな赤い花が咲く。そして花が終わってから葉が生えてくるけれど、越冬して夏近くなると地上部分は全く見えなくなる。花の造詣と相まってかなり奇妙ではある。
■彼岸はとうに過ぎたけれど、今日義母に進められては映画『おくりびと』を観てきた。平日のお昼なのですいていると思いきや、ご高齢の方々でいっぱいだった。いずれ直接自分たちにも関係する話だということもあるが、作品自体もとても良質な作品だからだろう。私は別に映画人や俳優ではないので、作品製作や演技や脚本に関してはけちのつけどころを知らない。他人にもご覧あれと薦められる作品である。
中国地方と東北地方の相似
- 2008.09.16 Tuesday
- ■温泉と旅行
- 15:05
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- by 小野満麿
■中国地方を旅して思い当たったことがある。それは県のそれぞれの位置関係が東北地方のそれとよく似ているということだ。県境は文明開化に伴う廃藩置県とその新たな分離合併の結果でもあるが、その江戸時代の藩制もまた、それ以前の諸国の群雄割拠による領土の書き換え及び山川などの自然による分断の結果でもある。この行政区分を根本的に見直そうという動きもあるが、安易に決定しがたいものもある。
■東北地方の県の位置関係は北から右回りに青森県・岩手県・宮城県・福島県・山形県・秋田県となっている。中央に田の字型にある岩手県・宮城県・山形県・秋田県を太平洋側と日本海側、及び北側と南側と分けることができ、それを北側と南側から青森県と福島県が挟み込んでいると見て取ることもできる。青森県は陸地の端で海に突き出している形だが、福島県はさらに他の圏域と接して繋がっている。
■中国地方の県の位置関係は西から右回りに山口県・島根県・鳥取県・兵庫県・岡山県・広島県となっている。中央に田の字型にある島根県・鳥取県・岡山県・広島県を日本海側と瀬戸内海側、及び西側と東側と分けることができ、それを西側と東側から山口県と兵庫県が挟み込んでいると見て取ることもできる。山口県は陸地の端で海に突き出している形だが、兵庫県はさらに他の圏域と接して繋がっている。
■さてここで「兵庫県は中国地方と違う、れっきとした近畿地方だ!」という突っ込みが入ることと思われるが、ここは陸地の形上からの相似形と数合わせを見るということであり、決して中国地方そのものの中に分類されるべき云々という言質ではないので、ここはひとつかりそめに中国地方の延長上に位置するという意味合いほどで、隣接地域への愛憎や社会的現実感を軽く飛び超えて平にお許し願いたい。
■実際の面積比率を見ると、兵庫県を入れても中国地方と東北地方は6万平方km弱と8万平方km余と、3:4ほどで中国地方の方が小さいが、むしろ着目したいのは、この2つの地方が日本列島という文鎮の摘みに相当する富士山を中心に、占星術では協和的角度であると見られている120度分回転した位置関係にあるということだ。そしてそこにあまり思いがけなかった県同士の同型対応をみることができる。
■回転対称ということで見れば、それぞれの位置関係から山口県−青森県、島根県−岩手県、鳥取県−宮城県、兵庫県−福島県、岡山県−山形、広島県−秋田県と対応する。また線対称として見るならば、山口県−青森県、島根県−秋田県・鳥取県−山形県・兵庫県−福島県・岡山県−宮城・広島県−岩手県と対応する。日本列島上をずるっと移動させるならば、山口−福島、兵庫−青森という対応もありだろう。
■それにしても実際にその該当県である人とそうでない人とではまた捉え方も異なるだろうが、このような見方は単なる思い付き、単なる遊びではあるけれど、世界を見る見方はいろいろあって然るべきだろうという言明で自らを正当化しておこう。地図を見るということは、実際の地を歩くことと会あい待った時、その面白さと不可思議さは倍増する。実際のところ、私はどこから地図と現実を共に見ているのだろう。
■広島にて三次行を見送る/れっつとらこぼ怪異旅(5)
- 2008.09.15 Monday
- ■温泉と旅行
- 00:00
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- by 小野満麿
■さて今朝(10日)は6時前に目が覚めて部屋でごそごそしていると、隣室の烈氏から携帯メールが来た。もし起きているのであれば、できれば少し早く出ませんかのことで、チョコボ氏にも打診して、早々に宿をチェックアウト。朝の広島の街を徒歩と路面電車でJR広島駅へ出た。烈氏とチョコボ氏は長距離バスに乗って三次入りし、妖怪奇譚の調査と踏査に臨む彼らと今生最後やも知れぬ朝食を共にする。
■チョコボ氏は青春18きっぷの関係上、今日中に米原に帰り着く予定だが、烈氏は調査が長引けば現地泊も吝かでない強き心構えであると言う。甲田氏が無事生還成れば、その後大阪に出て、さらに13日には新潟に出没する予定だという。あわよくば新潟の人たちが最新の怪奇調査譚(多分お笑いもあり涙もありかと)を聞くことができれば良いのだが。最悪妖怪に取り込まれてしまう可能性もないわけではない。
■私は青春18きっぷの期限が今日いっぱいであることもあるが、何となく一緒に行かない方が良いと感じたので、芸備線の接続が悪いので広島駅から長距離バスで直接三次入りする彼らの武運を祈りつつ、まだ朝のラッシュでごった返す駅前のバスターミナルでその出発を見送った。ということで、この続きと顛末がチョコボ氏の傍証と、妖怪博士のモノローグで後日みなに知られることを祈りたい。
■私は彼らを出発を見送ってから自らの帰路に着いた。09:25広島発⇒10:32三原着/10:33三原発⇒12:10岡山着/12:24岡山発⇒13:19相生着/13:21相生発⇒13:40姫路着/13:57姫路発⇒16:21米原着/16:30米原発⇒17:04大垣着/17:09大垣発⇒17:40名古屋着。青春18きっぷの旅は、いつもながらこの有効期限が切れる直前頃にその醍醐味とリーズナブルさが一番見に染みる。次の冬シーズンもまた広島行があるのだろうか。
■この文章を書いている現時点では、彼らのフィールドワークもとうに終わっているはずである。怪奇現象に巻き込まれたか、はたまた何事もなくやり終えたのかは定まっていることだろう。おそらく何も障りなく生還し、笑い話宜しく次の怪異探訪プランを練り始めるのではあろうけれど。彼らの後日談はあるのだろうか。順当に行けば、甲田氏とは新潟で13日に再会する予定である。再会はあるのか?
■あ…、し、しまった。今回広島のお好み焼きを食べ忘れた〜っ!
れっつとらこぼ怪異旅(5)on 20080910 この項終わり
■原爆トームと平和記念公園/れっつとらこぼ怪異旅(4)
- 2008.09.14 Sunday
- ■温泉と旅行
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- by 小野満麿
■路面電車を原爆ドーム前で降りて道を渡ると、すぐ目の前にそれはあった。写真などでイメージしていたより小さく、そして荒廃していた。まるで作り物のように見えるほど荒れ果てたまま、内部までしっかり保存してあることにも驚かされる。しかしこれは紛れもなく惨状の現場であり、それを決して忘れないために世界遺産として保存されているのだ。体と心の中から様々な言葉にならない情動が湧き立つ。
■しかしそれは決して暗く重苦しく不快なものではなく、むしろ慈しみや共感、そして様々なネガティブなものが反転して創造と未来へ押し上げるようなうねりであり、意識的にそれを堪えなければ涙が積を切って流れ続けるであろう類のものだった。悔し涙でも嬉し涙でもなく、その意味も自覚できないながらも全く不快ではないこみ上げて来るもの。神社仏閣、教会やモスクよりも心が祈りの姿勢を取る自覚。
■無駄口を叩きながらはしゃぎ騒ぐ日本の学生たち。真摯な眼差しで見上げる異国人。祈るように立ち尽くし目を閉じる外国人。私は日本人も外国人も区別せず、そのような人たちが真剣に自らの内から沸きあがってくるものを受け止めようとしている姿に、生命を強く揺すぶられる。高い旅費を払って遠路はるばる原爆の結果を確認しに訪れた人たちの静かな横顔に深く共鳴する。その姿に共有の未来を見る。
■厳しい残暑を押して、そこから平和記念公園に入り散策する。日陰と日向の交錯する暑い9月の昼下がり。現地の人にはこの公園は日常のものだから、ここの目に見えぬエネルギーや振動もさほど分からないらしい。人により共鳴するところが異なるのではあろうけれど、個人の枠を超えたただならぬ大きなものが、私を励起させ続ける。公園の突き当たったところで、居住まいを正して記念資料館に入る。
■多くの外人が真剣に展示物に見入り、深く思い巡らせているさまにいたく心を動かされる。その人たちの優しさ、慈しみ、共感、尊厳を踏みにじる力に対する強烈な不快感…。百万遍の弁舌よりも、眼前の写真や遺物を見るほうが強烈なように、どんな聖人・偉人のイメージや遺言たちよりも、今は目の前で静かに佇んで展示を眺め祈っている人の姿の法が清浄で光り輝いて見える。共存と相互慈愛の未来。
■さて、5時過ぎに一同はマイミクの亜矢さんと合流して食事をすることにした。予定していたお好み屋さんが休みだったこともあり、当地では有名なチェーン店らしきうどん屋で夕食を取った。そして今夜の宿に関しては、ネットカフェ難民もどきもまた面白いと思っていたがが、甲田氏が明日の比熊山の登山トライのために体力を整えたいと所望するので、まずは安宿を確保してから喫茶することにした。
■チョコボ氏が彼の万能型ワンセグ携帯でホテルの検索と予約を作業を速やかにしてくれた。中区平和通り近くの「ホテル28広島」という宿で3780円也である。部屋にバストイレがないけれど、それくらいは問題がない。繁華街まで3分ほどという立地条件も良い。チェックインしてから、近くのお店で改めてティータイム。るしえる氏のマイミクのEmmyさんも途中から加わって、遅くまで歓談・放談である。
■最後にラーメンで閉めて解散して宿に戻る。今日(9日)は図らずも世界遺産を巡る足跡となったが、途中から現地人と同行できたので、広島の少し裏道まで歩き見ることができた。ありがたいことだ。さて明日は甲田氏とチョコボ氏が三次に出向いて、いよいよ妖怪フィールドワークをすることになる。大丈夫か、2人。私は目的の広島の平和記念公園通過を果たしたので、明日は帰路につくことになる。
れっつとらこぼ怪異旅(4)on 20080909-3 その5に続く
■縁ある国前寺と稲生神社/れっつとらこぼ怪異旅(3)
- 2008.09.13 Saturday
- ■温泉と旅行
- 00:00
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- by 小野満麿
■そもそも稲生平太郎が長期に渡って妖怪たちに取り付かれたのは、比熊山にある「たたり石」に刀傷を付けたためだという。甲田氏は妖怪の実相を見極めるためにく、おのれの身を持って人体実験を敢行するらしい。その方法は「たたり石」と対峙してその近くで小便をするというものだ。妖怪の世界の研究とはいえ、その方法は科学的追証でもある。生半可な姿勢や覚悟では完遂できないものである。
■甲田氏はこの三次の「稲生物怪物語」に関するフィールドワークを決行すべく、諸難を廃して現地入りするために、居住まいを正すための第二弾と第三弾の準備段階として、まずは広島駅から北東に数百メートルの地にある山根町の国前寺で稲生平太郎の墓を参り、さらに広島駅から南西に数百メートルの地にある稲荷町の稲生神社を詣でることにした。未顕の甲田妖怪研究所の活動に触れる思いがした。
■先ずは広島駅の新幹線口側からタクシー乗り場を抜けて山根町の国前寺へ向かう。国前寺は1340年からある日蓮宗の寺で、被爆時の強烈な爆風にも耐えて焼失は免れ、貴重な往事の佇まいを今に伝えている。またここには「稲生物怪録」の主人公稲生武太夫の墓がある。また妖怪大将である山本五郎左衛門からもらったという木槌が納められている。これは1月7日の稲生祭にのみ開帳されるという。
■建築自体も見ごたえがあるこの寺はすぐに見つかったが、甲田氏が稲生武太夫の墓の在りかを問うと、ご住職らしき方が出て来ててかなりぞんざいに指差してあの五輪の墓だと教えてくれた。指差した方向には五輪の墓がふたつあった。間違えて違う墓にお参りしてしまうところだったが、墓石の横にある刻み文字から辛うじて稲生武太夫の墓を特定できたので、甲田氏は懇ろに墓参することができた。
■返す手で今度は広島駅の反対側にある稲荷町の稲生神社に向かう。個の神社で豊受大神・大國主命と共に祀られている稲生武太夫は、妖怪を退散させたことから魔除け・強運を招く神様として扱われている。1993年の改築現在の形になったそうだが、地上3階というユニークな形をしている。入り口ののぼりと階上の提灯に、寄進者として水木しげる・京極夏彦・荒俣宏及び元カープの衣笠祥雄の名があった。
■甲田氏は明日たたり石のある比熊山登山などに備えたアイテムとして、ここで売っているという稲生武太夫がもらった木槌のレプリカをゲットしようとしていたのだが売り切れだった。話を聞こうと玄関のベルを押すが誰も出ない。しかたなくお参りと写真撮影だけしてそこを退出することにした。なお帰宅後に調べたところ、中区にある日蓮宗本照寺にも稲生武太夫及び稲生家の墓があることが分かった。
■とりあえず三次入りをする前の諸段取りとしてできることはこのくらいであろうと踏んで、路面電車に乗って広島平和記念公園に移動することにした。広島は個の路面電車と乗り合いバスを制しなければ移動はなかなかままならないようだ。それにしても市街地の地図を見ると、広島は川の町だということを改めて知らされる。
れっつとらこぼ怪異旅(3)on 20080909-2 (4)に続く
■宮島口より厳島神社に渡る/れっつとらこぼ怪異旅(2)
- 2008.09.12 Friday
- ■温泉と旅行
- 00:18
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- by 小野満麿
■08:24岡山発の普通列車に乗って西に下ること3時間。広島もスキップして11:24に宮島口に到着する。中国地方の主要都市間の距離感覚と位置は、鈍行列車に揺られながら通過することで、頭だけでなく身体にも刻み込まれる。駅を出てすぐ側にあるフェリー乗り場に歩を進める。空には一片の雲も無く暑い。15分間隔で運行している宮島へのJRフェリーは、青春18きっぷで乗船できるのが嬉しい。
■10分ほどの乗船で対岸の宮島に着く。実に美しい光景だ。土産物店が連なるアーケードを抜けて、石造りの大鳥居をくぐるとそこは厳島神社に通じる御笠浜だ。そこは海上に立つ朱塗りの大鳥居のビューポイントである。写真などのイメージでは海の中に立っているその赤い鳥居も、今はちょうど干潮時なので陸続きになっている。階段を降りてさらに近づいて見る。厳島神社にも海側から徒歩で進入だ。
■厳島神社側から見ると、残暑の光を浴びる赤い大鳥居が海の青に映える光景は独特の美しさがあって魅力的だ。厳島神社の平舞台ではちょうど神前結婚式が行われていた。外国人たちにはその様が珍しいのだろう、祝福もかねて笑顔でカメラのシャッターを押している。さすが世界遺産である。観光客には実に外国人が多い。そして人間に無警戒なまま日陰でくつろいでいる可愛い鹿たちも多い。
■円天地方を表す多宝塔は日本中各地の寺院にある。しかしここ厳島神社の多宝塔を宇宙の形理や数理を現す時の画像として使おうと、デジカメに納めるべく階段を登っていった。すると途中に真ん中の洞に穴が空いていて、一つ目の妖怪のような姿をした老樹があった。奇妙な枝振りと奇異な形状のほこら越しに覗いた画像を撮る。肝心の多宝塔は木の枝が邪魔で、望むような全体像が撮れなかった。
■食にも一言ある甲田氏及び全くないチョコボ氏と共にここで成す残されたミッションは、ご当地の名物である「穴子飯」を食することだ。一番奥手にある千代の庵というお店に入ってあなご丼を注文した。1780円也。秘伝のたれは少し甘み系だ。途中から唐辛子を加えて食す。とても美味し。有名な焼き牡蠣はもう少し時期を待ったほうが良さそうであり、もみじ饅頭は甘そうなのでパスすることにした。
■宿もあり、ロープウェイや遊歩道や歴史的名所もあるので、時間があれば丸々1日翔か宿泊して過ごしても見たい名所である。仁安3(1168)年に平清盛によって現在の形に成されたものだが、社殿そのものは推古元(593)年に創建されたものだという。それ以前から存在することも含めて、ここの景観には平安の美意識はあるが、宗教的なにおいがほとんどないというのも逆に不思議である。
■さてまずは件の三次の怪異現象より遥かに古い神社に詣でて、その追踏破の旅の無事を祈願する第一弾の完了である。フェリーに乗って宮島口に戻り、広島に向けて出発だ。
れっつとらこぼ怪異旅(2)on 20080909-1 (3)に続く
■備後国三次の「稲生物怪録」/れっつとらこぼ怪異旅(1)
- 2008.09.11 Thursday
- ■温泉と旅行
- 23:55
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- by 小野満麿
■一昨日昨日と愛知で行われた暦イベントに参加して、心身共に消耗・疲弊した。帰宅途中から一段と具合が悪くなる。厳しい残暑による熱中症気味らしく、家の敷居を跨ぐとそのまま倒れこむように床に就いた。そして今朝はそこそこ回復しているのを自覚して、早々にネットで旅程の検索を開始。青春18きっぷがまだ3枚残っており、使える期日もあと3日。9月の8,9,10日と山陽地方を旅することにした。
■今回の旅は岡山・広島だ。甲田妖怪博士が広島県三次(みよしと読む)に伝わる妖怪譚がらみのフィールドワークを敢行するのだが、途中までチョコボ氏と共に同行することにした。昔たたり石に刀傷をつけたために、30日間に渡って妖怪変化に祟られ悩まされたという話が残っている。甲田氏は人体実験として、その石の近くで小便を垂れるという。実際にやるかどうかは不明ではあるが。三次はかなり遠い。
■さて08:32名古屋発の東海道線に乗り、09:24米原に着く。09:26発の新快速で滋賀県・京都府・大阪府をスキップして兵庫県の相生に12:24着。12:25発の普通に乗り換えて岡山に到着したのは13:36だった。青春18切符を使っての旅である。広島まで足を伸ばしてそこで宿を探すことも考えられたが、余裕を持たせて「岡山ユニバーサルホテル駅前店」に宿を定めた。
08:32 名古屋発----09:24 米原着
09:26 米原発----12:24 相生着
12:25 相生発----13:36 岡山着
■駅から徒歩数分ほどのところにあるこの宿は、手狭ながらもビジネスホテル仕様の個室であり、そこそこの夕食と朝食も付き、手足が伸ばせる大浴場もあって、料金は3981円ぽっきりと安い。以前松江で同グループの宿に投宿した時、岡山にも店舗があることを記憶していたのだった。宿で早々に夕食を食べてから3人で町に繰り出し、書店やネットカフェで情報を収集する。以下は妖怪録の内容についてである。
■備後国三次に住む稲生武太夫(幼名平太郎)が、寛延二(1749)年の夏に30日間に渡って毎夜妖怪と対決し、その一部始終を記した「三次実録物語」という書物がある。柏正甫なる者がこの稀有な怪異現象を聞いて、「稲生物怪録」という書物に残した。また当時これを読んだ国学者平田篤胤が、妖怪がこれに絵図を加えた「稲生物怪録」を出版してこの怪異が有名になり、同様の絵巻物多数が作られた。
■その話の内容はこうだ。旧暦の7月、当時16歳だった平太郎の屋敷に30日間に渡って、大髭手の大男、老女の大首、一つ目、美しい女性、家財家具の怪、妖しい幻火等々さまざまな化け物が出没する。平太郎少年は妖怪の実相を見極める迄は退却しないと頑張り続け、最後は妖怪の魔王からその豪胆さを讃えられ、友情の証にと魔王を呼び出す「木槌」木槌をもらう。これは後日の回想録という体裁である。
■ちなみに稲生武太夫は最後までそれを用いることなく、現在の広島市山根町にある国前寺に奉納した。この寺にはその木槌の他に稲生武太夫の墓も現存している。また広島市稲荷町の稲生神社は、稲生武太夫を公霊神として祀ってあり、この木槌のレプリカも売っている。甲田氏の調査は学問的段取りを踏まえつつ、それを自らの人体実験によって追証してみようという過激なものでもある。
れっつとらこぼ怪異旅(1)on 20080908 (2に続く)
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