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絵のある次元幾何学研究会 in 東村山
- 2009.04.27 Monday
- ■日々の記録
- 12:49
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- -
- by 小野満麿
■版画家大久保草子氏の個展が東村山のギャラリーMARUでほぼ2週間に及んで開催されている。その開催前日の4月27日にその会場で次元幾何学研究会を催させてもらった。今回は前夜祭モードもブッキングして、特別に「絵のある次元幾何学研究会」と銘打ってみた。搬入から飾りつけまでの作業を眺めたり手伝ったり邪魔しないよう別室で茶を飲んだりした後、部屋の真ん中に置いた座り机を囲むように座って自己紹介から始まった。
■前日から泊り込みで濃い話をした猫ジャマ氏&としさんは昼過ぎに仕事に出かけて行ってこの場にはいないが、すでに研究会は昨晩から続いていた。周りの壁にぐるりと絵がある中での話し合いはまた特別な感じがする。一巡し終えると新客が来室するので、自己紹介がぐるぐると回り続けた。やはり強烈な別のとしさん、ようひさん、そしてヌーソロジーロッジの管理人のRicardo氏も遠路はるばる足を運んで顔をみせてくださった。
■今回は珍しく飲み食い騒ぎではなく、お茶と水で静か目に進んだのだが、まあやっていることは大して変わらない。みんなで語り合うつもりだったが、問いに対してはまた私が多面体と数についてでしゃばり気味に説明することに。いるりひと氏、kiraku&草子さん、妖怪博士などヌーソロジーに直接間接関係のある人も多かっただったので、そして後半はRicardo氏と一緒にもっと突っ込んだヌース話をしても良かったかもしれない。
■それにしても周囲にぐるりとある版画というものについてを改めて考えてみると、かなり特異な位置のアートだ。1枚きりの絵画やイラストとは異なり、30枚なり50枚100枚なり刷ることが前提で製作し、売れた作品にも7/30のようなナンバリングをする。従ってよほど売れっ子だったり多作だったり、全ての取引を画廊や画商任せの人ででもなけれは、自分の作品の何枚目が現在どこの誰のところにあるのかの全体像を把握できる。
■何十万部の大量印刷が前提のマンガや写真とも趣が違う。人気が出てそのニーズに全て応えようとしても、版木自体が摩滅してしまえばそれは不可能だ。現在では高解像度の写真印刷やコンピュータ処理もできるが、当然オリジナルとは異なるものだ。何より特異なのは白黒の反転及び表裏の反転(結果として左右・前後の反転でもある)があるということだ。注文後に工房で刷り上げ、額装して発送するといシステムも無駄がない。
■製作者草子さんと相方kirakuさんの、未来に通じる知性と飾りのない天然の温かさが醸し出す、あの魅力的な居心地のよさも書き漏らしてはならないだろう。そのおかげで期間中は多数の友人知人アーティストたちによるイベントが目白押しで、毎日が違ったお祭りのような感じになるだろう。多忙で目まぐるしくて疲れてしまうのではと思われがちだが、一緒にすごすことによって逆に元気が回復するということは、今回改めて実体験した。
■そういえば今日は確か甲田氏が相模女子大で教鞭を取った帰りにまた寄って、午後6時頃から妖怪談義をあの会場ですることになっていたはずだ。私はすでに名古屋に戻っているので駆けつけることはできないが、またいつか遠からぬうちに個展と次元幾何学研究会をブッキングしようということは確定している。…ああ、それにしてもあの版画の中で私が勝手に「ぐるぐるシリーズ」と呼んでいる作品群の中の1枚なりとゲットしたいものである。
笑いについて笑わずに語る難しさ
- 2009.04.25 Saturday
- ■日々の記録
- 10:31
- comments(2)
- -
- by 小野満麿
■ECCO主催のイベント『お笑い・光と数…こんにゃく問答21世紀バージョンをめざして』を行った。この日は雨。内容は甲田氏と私が「笑いについて笑わずに語る」を建前として、自分の専門フィールドで語りつつ笑いについても考えるというはずのものだった。しかし実際の漫才師でもピンの芸人でもない私たちが、急造のコンビを組んでそれなりに笑いも取りながら内容のある掛け合いをするというのは、どう考えても敷居が高すぎた。
■しかも東京と名古屋なので立ち稽古もすることなく、2時間前に集まってネタあわせしても当然覚えきらない。ピンでとコンビでの組み合わせ順番1つ取っても、それを決めるのに時間が掛かった。本番は4つのコンビネタの台本を作ってきたのだが、それぞれの内容がまぜこぜになってしろうと芸にもなっていなかった。決して甘く見ていたわけではないのだが、現実は厳しかった。数のダジャレ的符合群に関しては良く覚えていたのだが。
■そのうちの1つであるゆるいコントの台本を以下に上げてみた。内容も覚えきらず、本編はグダグダになり、笑い芸だけだったらとても人前で見せられるものではなかった。しかし次回6月13日(土)のはそれぞれオタク極まりない内容の話をして良いことになったので、数と形の話と妖怪の話となるだろうから、このような自作コントのような作り話はある意味レアであろう。誰か自分でやってみたいという人などいないものだろうか。
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■■■ around 2012年12月21日 ■■■
(コンビニの中、レジの前)
甲田 (弁当手に取って)これ下さい。おっ、半額?
小野 あー、今日中に賞味期限が切れるんで。まだ時間ありますから大丈夫。
甲田 12時になって賞味期限切れたらどうなんの?
小野 当店では廃棄処分にします。
甲田 もったいない。なら12時回るまで待とうかな〜。
小野 いや、無料にはなりませんから。
甲田 ま、いいや。これ頂戴。
小野 はい、650円だから半額の…325円…おっ、325か。1から25までを足した数ですね。
もしくは11朔望周期。満月から満月までが11回。18の2乗+1の2乗でもあります。
甲田 (…間…)あなた、数字オタクでしょ。
小野 分かりますか、いやー、照れるなー。
甲田 褒めてないから。それより早く弁当。
小野 はいはいただいま…。(…間…)あっ…あ、ああーっ!
甲田 どうかしましたか?
小野 たっ、大変だっ!…忘れていたけれど、今日は12月21日だった!
甲田 そうですよ。
小野 そうですよって、あんた、今日は2012年12月21日ですよ。
甲田 (…間…)それが何か?
小野 何かって、あれですよ、あれ。マヤ暦の終わり。ホゼ・アグエイアス。タイムウェーブゼロ。テレンス・マッケナ。
甲田 なんか昔そんなこと言ってるやついたなあ。
小野 今日の話ですよ。、今この瞬間の話。
甲田 それはいいから、弁当早くくれや。
小野 ああ〜、今日家を出るとき何か忘れていると思ってたんだけれど、これだったんか〜。
甲田 そんなに大変なことだったら、忘れるなよ。
小野 いかん、いかん、長年研究してた『2012年理論』の賞味期限が切れてしまう。
甲田 12時になったらこの弁当、賞味期限きれちゃうんだろ。
小野 大丈夫、まだもうちょっと時間があります。そうだ、お客さん、ちょっと聞いてくれますか。
甲田 何を。
小野 『2012年理論』の一部をです。
甲田 なんでコンビニでそんなこと聞かなくちゃーなんねーんだよ。
小野 まーまー、そう言わずに。彼女もいないし、暇でしょ。
甲田 余計なお世話だよ。
小野 2012年12月21日で終わる現行のマヤ暦が始まったのが紀元前3113年なんですけどね。
甲田 半額弁当〜。
小野 いいですか、これが5つのプラトン立体。(プラトン立体サイコロをポケットから取り出す)
甲田 いつも持ってるんかい、そんなもん。
小野 (ホワイトボードに書く)BC3113〜AD2012と。
甲田 いったいどこに書いているんだ?
小野 これが正20面体と正12面体。
甲田 それがどうした?
小野 ほら、2012年。
甲田 ダジャレかよ。
小野 で、この2つの立体の回転対称軸が…あ、回転対称軸ってのは、こうやって回転すると対称性を取り戻す重要な軸なんですけどね…それが両方とも31本あるんです。
甲田 ほう。
小野 でもってこっちの正8面体と正6面体の回転対称軸の方は13本。つまりほら、3113年。…反転しているし。
甲田 また、ダジャレかよ。
小野 ちなみにうちの嫁さんの車のナンバーは3113なんですよ。
甲田 聞いてねーよ、そんなこと。
小野 で、さらにこの正6面体の辺の数が12本。さらにはサイコロの目の1〜6まで出を足すと21。
ほーら1221。こっちもしっかり…反転してるし。ずごいでしょー?
甲田 (…間…)でも、やっぱりダジャレじゃねーか。
小野 「偶然の一致」とはスピリチュアルなダジャレだって言いますからねえ。
甲田 さて、聞いてやったから、もう弁当くれや。
小野 いや、まだまだ、話はあるんですよ。
甲田 超オタクだなー、あんた。
小野 明るくなるまで話しましょう。
甲田 冗談じゃねーよ。早く弁当売ってくれ。
小野 いいじゃないですか、弁当の1つや2つ。
甲田 よかねーよ、12時回ったら正規の値段で新しいの買えとかって言うんだろ。
小野 大丈夫。アセンションまでもちっとだけ時間があります。
甲田 アセンションだかデセンションだか知らないけど、そうしたらどうなるんだよ?
小野 みんな光になって地球ごと次元上昇しちゃいます。時間船地球号の出港です。
甲田 大変だ、弁当まで光になっちまったら食えないじゃないか。早くよこせよ。
小野 時間がどんどん重なってきて、ついにそこで反転が起こるんですよね。
甲田 腹が減っては反転もできねえ。とりあえず弁当食うぞ。
小野 はいはい、最後の半額弁当ですね。650円弁当の半額割引っと…(…間…)あれぇ?
甲田 ほれ、325円ね。
小野 1300円になります。
甲田 (ずるっとして)ちょっと待てや。何で倍になるんだよっ。
小野 あれじゃないですかね、ほら、反転現象ってやつ。
甲田 ふざけるなよ。
小野 レジ、調子よくないみたいですね。じゃー2つで2600円にサービスしておきます。
甲田 2つもいらねーよ。(…間…)あ、そうか、マヤのツォルキン260のダジャレで260円ってか。
小野 マヤの26000年で26000円になります。
甲田 あほかっ、何でコンビに弁当が26000円もするんだよ。デパートのおせち料理かよ。
小野 お客さんが1/10の値段を言ったので反転したのでは?
甲田 10倍にかよ。いっそ万引きするぞ、こらぁ。
小野 わかりました、ちゃんとやりますよ。650円かあ…おしいなあ、この元値。
いっそ687円なら火星の公転周期日だったのに。
甲田 おまえ、完璧にアホだろ。
小野 650円が2個だと…うおおっ1300円だっ。
甲田 だから2つもいらねーって。
小野 これを昔の消費税率5%の外税として計算すると…1365円!
おおっ、すごいっ!4つの内惑星の公転周期の合計1365日だっ。
甲田 今度はなんだよ。
小野 いいですか、公転周期。水星の88日、金星の225日、火星の687日を合計するとぴったり1000日。そして地球の365日を足すと1365日。うおお〜っ、これはもう宇宙の陰謀ではなかろうかっ!!
甲田 (ボッボッボッボーンと時報鳴る)おいっ、12時回ったんじゃねーか?
小野 えーっ!えーっ!(ドアの外見る、自分の手を見る。あたふたする。)えーっ!
甲田 何もないんじゃね?
小野 えーっ!なんで、なんで、なんでーっ?
甲田 地球ごと次元上昇すれば同じなんじゃないのか?
小野 みんな光になったんでは…
甲田 みんなで変われば違い分かんないじゃん。
小野 ええーっ、そうなの?
甲田 弁当が光になっても、自分も光になってたら食えるじゃん。
小野 でも賞味期限切れちゃいましたね。
甲田 てか、あんたのばかっ話の方がとうに賞味期限切れだっちゅーの。
小野 …とまあ、結局、半額弁当を食えなかった甲田烈であった。
甲田 おまえが言うなって!
ルービックキューブを購入した
- 2009.04.22 Wednesday
- ■多面体と多様体の世界
- 14:44
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- -
- by 小野満麿
■ルービックキューブ。考案者は数学者ではなく発明家・彫刻家・建築学者であるエルノー・ルービックというハンガリー人だ。各面は3×3=9個の色の付いた正方形で構成されている。また立体として見ると3×3×3=27個の立方体からなっている。中心にあって目には触れないジョイント部分1個、各面の中央にある6個のセンターキューブ、各辺の中央にある12個のエッジキューブ、各頂点にある8個のコーナーキューブから構成されている。
■幾何学的に見ればこれらはそれぞれ胞・面・線・点の位置に対応する。外部に出ている面の数から1面体、2面体、3面体と言うこともあるが、この伝で行けば中心部分は0面体ということになる。回転方向の自由度を考えれば、0面体・1面体・2面体・3面体はそれぞれ0・1・2・3であり、幾何学的に対応する次元要素である胞・面・線・点の次元数である3・2・1・0と逆転しているところが面白い。
■かつて(A)1×1×1=1個の立方体、その内部が(B)3×3×3=27個の立方体、そしてさらにその1個1個が27個である(C)27×27×27=729個の立方体の3つを同時に示して、(A)+(B)=1+27=28であり、28×13+1=365で13の月の暦の1ヶ月であること、(A)+(C)=1+729=365×2で地球の2年であること、さらに(B)+(C)=27+729=758=378×2で、土星の2会合周期となることなどをこの形を元に、3重の入れ子キュービックで表現した。
■しかしルービックキューブそのものはしろうとで1面完成もままならなかった。人々に話をするのにやはりそれではまずかろうと考え始めた。おもちゃ屋に行かなくては手に入らないので、たまたま近所の100円ショップに出回っていたものを購入してトライしてみた。さすがに1面をそろえるだけでも暗中模索である。コツをつかもうにも1個を動かすと他も連動して動くので、途中から何がなんだか分からなくなってしまう。
■一向に上達の気配がないので、取りあえず攻略本を買ってしまった。1300円なり。キューブは100円ショップでいくつか購入していたのでそれを使った。バッタもんは回転がギクシャクしすぎて、肝心の時に引っ掛かる。変な持ち方をするとカラー部分がはがれるし、変に回転に力を入れすぎるとバキッと破滅の音がする。しかたなくついに純正ルービックキューブを買う。実に良く回る。最初からこれにすれば良かったかも知れない。
■このルービックキューブは最速でも何十手もかかりそうだが、どんな状態からでも25手以内で各面が揃った状態に戻せるということを、スタンフォード大学の数学の研究助手トマス・ロキッキが示したらしい(2008年3月)。まあそこまで行かないまでも、まずは実際に最後まで行くところから始めることにしよう。
幸福の木と幸福の植物たち
- 2009.04.19 Sunday
- ■日々の記録
- 11:30
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- -
- by 小野満麿
■ふと気がついたら「幸福の木」の花が咲いていた。ドアを開けて家に入ると花の香りが漂っている。決して不快ではなく、むしろ心地よい匂いなのだが、篭ると強烈だ。花を咲かせるために力を取られるからなのか、根に近い方の葉が何枚か枯れてしまうのも例年通りだ。花房の重みで木が微妙に傾いている。やがて花からべたべたの蜜が落下してくる。カーペットや他の植物の上にたれると厄介なので、樹下には紙でも敷いておくことにしよう。
■幸福の木のは原産地はアフリカ。花言葉は、まんま「幸福」。リュウケツジュ科・ドラセナ属だが、我が家のはドラセナ・フラグランス・マッサンゲアーナという名前らしい。ハワイでは幸福の木を玄関前に置くと幸せになるという言い伝えがあるそうだ。名前の由来は、「幸福の木」はなかなか花を咲かせないが10年以上経つと稀に花が咲くこともあるからだとか。つまり日々を大切に積み重ねてこそ、人生に幸福の花が咲くということらしい。
■幸せはそう簡単にはやってこないということでもある。ちなみに我が家のは毎年花を咲かせてくれる。現在では樹高が2メートル以上でもうすぐ天井に届きそう。ちょっと調べてみて驚いた。通常の観葉植物は2,3年に一度植え替えし、新しい用土と入れかえる必要があるそうだ。植え替えの適期は春の5月上旬から6月中旬頃。てそれ、今じゃん。土を自分で作る場合は赤玉土・小粒6、腐葉土4か。名は体を表すだし、よし近々植え替え作業するか。
■部屋の内外にも、冬の間は少し息を潜めていた植物たちが繁茂し始めている。ベランダに放置しておいたプランターからは様々な植物の芽が爆発的に萌え上がってきている。バジルの芽だけを区別して、ほかはみな雑草扱いして双葉のうちに抜き捨てていたものの残りが4〜5枚の葉を付けていた。その中には大葉の若芽がたくさんあった。大葉と気づいて抜かずにいたら、その後に間引きをしても恐らく100本は成長しただろう。もったいないことをした。
■スペイン在住のマイミクさんはなんとか今年はスペインでシソもしくは大葉を今年は育てたいと言っていたが、なんとも申し訳ないような話だ。シソやバジルはいわゆる雑草の生命力を持っているので、放って置いても次々生えてくる。キャトニップはあちこちぼうぼうでえらいことになっている。今年はハーブティーをもっと飲もう。プランターの中から発芽した里芋や紫芋やその他の植物が育ってきたので別枠に植え替えてみた。追肥もしなくては。
■街中では春の爆発的な開花がひと段落し、花みずきの並木が満開、銀杏や樅や欅並木の葉も出揃ってきた。自分の誕生日に近づいてきているわけだが、この季節は本当に生きている喜びが空気に充満していく感じがする。部屋の中でも「幸福の木」という名前と実体に負ぶさらず、むしろその名前と実体をさらに育成し、花を咲かせ、健やかに存在し続けてくれるようにしよう。もちろんほかの植物たちも猫たちも。あ、自分自身も成長しなくては。
見る者は言わず、言う者は見ず
- 2009.04.17 Friday
- ■日々の記録
- 22:24
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- -
- by 小野満麿
■「見ること」と呼吸は、無意識的になしているが意識的にもできるという点で似ている。意識的に呼吸を止めることは常人ではせいぜい1分くらいが限度だが、見ることは瞼を閉じたり眠ってしまえばいくらでも止められるではないかという意見があるかも知れない。しかし目を閉じていても人間は脳裏あるいは意識場で何かを見ることができるし、実際に意識していなくても何らかの内的風景はいつもそこにある。
■もちろん「夢を見る」ことと夢を意識的に見る「夢見の技法」や「ドリームタイム」の話をするつもりではない。むしろ目覚めている日常生活の中でも意識的に呼吸することで、自らの生命姿勢を調えることができるように、周囲のものごとを意識的に「見る」ことでも、自分と世界の関係性を再確認し、意識焦点の異動や集中に大いに役立つという事実を共有し、確認しあってみたいというのが眼目なのである。
■町を歩いていて、店の看板の付け根のボルトと太さや錆び具合、歩道の化粧石の色とパターン、刻々と変化する歩道並木のハナミズキの芽と葉の膨らみ、電柱の上にあるトランスの形状と電線のシルエット、すれ違う女子大生立ちの歩き方とファッションとその表情…。ただ意識してみることで、自分が世界を見ているようでそのほとんどが見えていなかったことに気付く。今まで見逃していたものが見えてくる。
■コメントせずにただ意識的に眺めること。発見、再発見の連続が、やがて自分が自分の世界を創っているという感覚にまで連なっていく。物理的な意味からメタファーまで含めて、「見る者は言わず、言う者は見ず」である。ただ見るということ。目の焦点を合わせることができるように意識焦点を合わせられるのは、人間の大きな才能であり、そして未来への活路発見の力であるとも言えるだろう。見出すということ。
透明になり視座だけがそこに在る感覚
- 2009.04.16 Thursday
- ■日々の記録
- 23:13
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- -
- by 小野満麿
■1990年1月、旅行先のロンドン市内。日曜日なのでバザールを見に地下鉄で出かけた。アラブ人やインド人、東アジア人や様々なアフリカンなどで、通りは溢れかえっていていた。少数の白人も含めてまさに人種のるつぼのような人波をかき分けるように進んでいると、その体躯や造作、皮膚の色合いや聞いたこともない言葉立ちの中で、自分がなんとも特徴のない極東の1人間ユニットに過ぎない存在だという感覚に包まれた。
■それまでの自己イメージが解体していって、自分がここでは無意味に近いものであるということに耐えられなくなった感覚は、ネガティブに受け取れば無気力で無力な自分かも知れない。しかしできるだけそのアイデンティティの喪失感を脱力感と共に味わってみようとしていたら、何者にも知られていないという事実が、むしろ何者からも自由であるという思いに転じ、自分自身が透明になったような感覚に変容してきた。
■あの自分がぺしゃんこになってしまったかと思うと、今度は静かに内側から何かが世界に向けて爆発していったような気がした。そこに残ったのはいつもの自分ではなく、ただ世界を見る視座だけがあるというような感覚。何者にも縛られずにいるから、何をしても良いし何もしなくても良いという自由な感じ。だから自らに制限を設けて限界を創って、その中で行き切ろうということを決意したような記憶感覚。
■それを失念した時にディスコミュニケーションや非力感を自分で創っているのだという閃きに似た確信。…それは意識のちょっとしたずれという変性意識、もしくは単なる幻覚だったのかもしれない。しかしちょうどその時、冬の厚雲の間から下手な演出のようにうっすらと漏れてきた弱日が、何と愛おしく感じられたことか。やがて雑踏を抜けて歩き続けるに連れて、その感覚は酔いが醒めるように消えていってしまった。
■限界はそれを突き抜ける喜悦のためにあるのだという、パラドキシカルな理。自縄を自力でほどく事の面白さ。翌年もロンドンに旅して、同じ場所に行ってみたのだけれど、同じような感覚はそこにはとうになかった。最初から無かったのだということを確認しに行ったのではあるけれど。しかしあの感覚、そして肌寒い大気と通奏低音のような街のざわめきは今でも残っている。光あれ。…しかし、光は元々そこにあったのだ。
正9角形と太った9芒星
- 2009.04.15 Wednesday
- ■多面体と多様体の世界
- 12:44
- comments(1)
- -
- by 小野満麿
(1) 正9角形 1/9
(2) 9芒星 2/9 7/9はリバース 太った9芒星
(3) 9芒星 3/9 6/9はリバース 3重の正3角形
(4) 9芒星 4/9 5/9はリバース 尖った9芒星
(5) すべての線が含まれている図形。線の総本数は8の3角数でもある36。
(6) 9芒星 (2)+(3)の形状。エニアグラムを内包する。
(7) エニアグラム
■先日ECCOの事務所で興味ある図形を見た。色付けや装飾が施されていたが、その基本は上に示した図形のうち上段左から2番目の「太った9芒星」だった。上の図でカッコの中に示してある数字(n/9)は、円の上にある9等分点を何個飛びでつないだ図形かを示すものである。1つずつつなぐと上段左のように正9角形になる。問題の「太った9芒星」は1つ飛ばしでつないだ形であり、以下2つ飛ばし、3つ飛ばしの9芒星である。
■図で示したとおり、(3/9)で表した図形は3つの正3角形を40度ずつずらした形状の9芒星である。2つの正3角形を60度ずつずらした形は6芒星であり、4つを30度ずつずらしたものは12芒星である。また(4/9)で表される形は尖った9芒星である。ちなみに5つ置きに結ぶ形は(4/9)の、6つ置きは(3/9)の、7つ置きは(2/9)の、8つ置きは(1/9)の、それぞれ逆向きにつながれて描かれる同じ形である。
■またこれは余談だが、上図下段に示したように(2/9)と(3/9)を重ねて描くと、その中にグルジェフが表したエニアグラムの形が内包されることが分かる。下段中央の図は平面なのだが、なにやら5芒星が重なり合う立体の透過図のようにも見える。なおこの9つの点を全てつなぐと上図下段左の図のようになり、その全ての関係線の数は36となる。それではぱっと見だと正5角形が重なっ多様に見える「太った9芒星」について考えることにしよう。
■n芒星というものは基本的にnが5以上の自然数なら全て成り立つ。nが4だったら正方形となり、1つ飛びに結ぼうとすると対角線になって星にはならない。正多角形の頂点をいくつごとに結ぶかによって、その数の回数だけ中心に対して回転して完成する。n角形なら全て1つずつなので1周で完成する。5芒星ならば2つずつなので2周で星型が完成する。なお正3角形が2つの6芒星のようにずれて重なるものも、完成へ至る周回数は同様である。
■さて円周を9等分した点を1つ置きにつないでできる「太った9芒星」だが、上図左に示したようにぱっと見では正5角形を逆向きに組み合わせた形に良く似ている。シンプルに10等分した円周を1つ置きにつないだ正5角形(及び位相を36度ずらした正5角形)と比較すれば、中心角が36度から40度へ、そして円周上の頂点が作る角度は108度から100度へと変わっているのだが、わずか4度(及び倍の8度)の差は瞬時には区別しにくいのである。
■この太った9芒星が中心点との関係で作るいくつかの2等辺3角形とその角度を上図右に示してみた。この9芒星は(2/9)で表現したが、正9角形には他にも(3/9)と表現した位相が40度ずつずれた3つの正3角形の9芒星や、(4/9)と表現した「尖った9芒星」、さらには諸概念を内包するエニアグラム図形も内包されているわけだから、それを見た者やイメージした者にとってはパワフルであるという表現をしても間違いはないだろう。
■先験的なものとして帯与されている様々な意味や象徴をはずし、数そのものを純粋に見ることの必要性と同様に、この諸形状を内包する正9角形を、諸概念をパイルしたエニアグラムなどの形状としてのみ捉えるだけではなく、純粋な形として実際に描いてみるなり頭の中で正確にトレースするなりしてみるだけでも、視覚的に受け取るもの(もしくは自らの中で想起されるもの)はあるに違いない。
■2サイクルで1つの図形を描く、2回回転して対称性性を取り戻すというスピン1/2や、プラトン立体の内側への面点変換において、正6面体→正8面体では体積比が6:1なのに対し、正8面体→正6面体では体積比が9:2となること、そしてその正6面体→正8面体→正6面体の一巡りで体積比が27:1(すなわち3^3:1)となり、この3次元空間における自己反転(正4面体の面点変換は1回で27:1)とも、なんらかの関係があるように思われる。
■この図形に関しては今後さらによく見ていく必要があるだろう。
4月25日のイベント「お笑い・光と数」
- 2009.04.13 Monday
- ■その他
- 00:16
- comments(0)
- -
- by 小野満麿
ECCO主催のイベント『お笑い・光と数…こんにゃく問答21世紀バージョンをめざして』のフライヤーができました。リードはこんな感じです。
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妖怪哲学の道を切り進む甲田烈と、数と形で世界を語る小野満麿の2人に「何かためになりつつ笑える話」という縛りでパフォーマンスの場を与えたらどうなるかという企画を実現させたECCO主催のちょっと未来型イベントである。「ためにはならなくても笑える」のか「ためにはなっても笑えない」のか、はたまた「ためにもならず笑えもしない」という笑い話に収束するのかは誰も知らない。結果は成り行き次第と未来に丸投げしつつ、「それは参加する人たちの意識次第である」と居直って豪語する2人は果たして大丈夫なのだろうか?
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内容は甲田氏と私が自分の専門フィールドで語りつつ笑いについても考えるというものです。コンビなのか、ピンの芸人モードなのか、はたまた単にいつものようなレクチャー形式となるのかは誰も知りません。
興味かある人のみ、詳細は以下のページでご確認ください。
http://homepage1.nifty.com/metatron/zigenkikagaku-21.htm
内容⇒「数と形」と「妖怪と哲学」をからめつつ笑いとは何かを探求する
紙芝居と落語?ピン芸人で語るのか、コンビなのか。ひとりよがりの王国の交差で話は進む…?
(1)妖怪の目から現世を語る哲学。
(2)数と形で天体運行と暦を掴む。
(3)言葉と形、意識と体、光と影。
『ONE PIECE(ワンピース)』を読んだ
- 2009.04.12 Sunday
- ■日々の記録
- 00:31
- comments(3)
- -
- by 小野満麿
■少年ジャンプの『ONE PIECE(ワンピース)』を読んだ。例によって近所の漫喫に入り浸り、何日かかけて現在の53巻まで通読した。感動しっぱなしだった。泣いて笑って感心し続けた。いまさら私が言うまでもないけれど、少年ジャンプという雑誌そのものの底力まで痛感させられるほどの傑作である。実はこれまで何度か続けて読んでいた部分もあったのだが、基本的に絵柄が好みでないからという理由で通読はしていなかった。実に愚かな理由だった。
■尾田栄一郎氏によって1997年より週刊少年ジャンプ(集英社)で連載しているマンガで、まだ当分終わりの気配を見せていない。友情・努力・勝利。少年ジャンプが標榜するテーマを堪能させ尽くすような王道でありながら、新しく、破天荒で、芸が細かくて、そして骨太でもある。ちゃんと読めば確実に泣く。そしてその泣きの涙と感動が、過去から未来をつなぐ人間の現在を、実に素晴らしいものとして肯定的で描かれているが故のものなのである。
■評論家や解説者のようなことは一切するつもりはない。ただ一言うとすれば、「私はこの作品が大好きだ」ということである。何より随所にある笑いのセンスにはただただ脱帽する。こういう作品に出会うと、ひたすら感謝の気持ちが生まれる。そして自分自身の中からも、未来に向けて自分のなすべきことを明確に意識しながら頑張ろうというベクトルを沸き立たせてくれる。既読の人、やっと追いつきました。未読の人、ぜひじっくりお読みください。
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