共感覚的世界観の未来方向

 

■1■19世紀から20世紀初頭にかけて、「共感覚」の研究非常に盛んになった時期があった。20世紀末から21世紀も最初の10年が過ぎた現今、心理学的アプローチと科学的解析の洗練から、共感覚に関しての研究は再度活発化している。現今では人間はみな潜在的な共感覚保有者である可能性が主張されている。

■2■通常の共感覚は結び付きのない脳の領域間に結合が生じて、異なる感覚が連動知覚される。人間のメタファー表現も、本来は無関係に見えるものを意味的に結び付ける。そして意外なことにメタファーの高度な抽象概念の意識的操作の根底には、異種感覚にまたがる共感覚的身体記憶が存在しているらしい。

■3■メタファーの言いまわしは、共感覚的な表現を相互に翻訳する能力と共に、字義通りの意味も認識しながらそれを識別しゆく能力も要求される。つまり意味を複合的かつ多重に解釈する柔軟性が要求されるのだ。しかしながら統合失調症の人は文字を字義通りにしか解釈できなくて立ち往生してしまうのだ。



■4■共感覚が急速に減衰するのは11歳頃だ。この生物学的に分化未遂ゆえに存在していた身体的共感覚が、言語領域に体現されてメタファー的表現の核になるという研究がある。そもそも言語自体がメタファーの上に成立している。発音や文字の形といった知覚できるものより先に言語が先行した確証はない。

■5■自らの内なる共感覚は脳の異なる部位間の再結合ではなく、主に知覚認識器官の発達上の未分化に起因すると考えられている。普段は日常生活に適合されている以外の膨大な知覚情報と共にフィルタリングされている共感覚もまた、薬物使用や強烈な視聴覚刺激などにより浮上して来て意識を変容させる。

■6■現代人は23人に1人という高い確率で何らかの共感覚を自覚していることが、ジュリア・シムナーの無作為調査で明示されている。23人と言えば、その中に少なくとも誕生日が同じペアが1組いる確率が50%を超える閾値の数だが、何らかの共感覚の持ち主は23人のクラスに1人はいるということだ。



■7■自覚の有無にかかわらず、また共感覚者か非共感覚者にかかわらず、誰でも数字と空間が自動的に関連付けているという事実も諸研究から明らかになってきている。自分の周囲の空間という疑似3次元的モニター上に、人間種として獲得した数値や形状の諸データが重ねて投射されているという意味である。

■8■音・色・数・形・文字などを別個に研究するだけではなく、それらの相互共感覚的な領域もまた見ていく必要がある。他者と共有できない独善的な共感覚や、理論先行による疑似共感覚体系の押し付けには断固抵抗しつつ、多様性と相互受容を維持しながら、人間の身体を介した創造性を見ていきたい。

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()上掲の3点の画像は以下のページより借用しました。
 "Vestige Images' photostream" 
http://www.flickr.com/photos/vestigeimages/ 


脳内の嘘と真実



■1■嘘と真実の語義を単純に表と表裏で考えよう。嘘をつくのは真実を語るより複雑な仕事だ。真実を抑制しつつ、偽の真実を創出する作業も同時進行する必要がある。最近の研究で、真実を語る時活性化する脳領域は7つ、それに対して嘘をつく時に関係する領域は14あるということが明らかになっている。

■2■生存を最優先する生体の偽薬的な自己虚偽反応は身体の随所に見られるが、意識的に嘘をつくことは主に前頭葉の仕事だ。嘘と真実もしくは表裏と表だけとして見ると、知覚で捉えられた条件反射的に構築された外界と、その情報認識に置いて内部で再調整する内界構築にも前頭葉発達は関係あるだろう。

■3■自己暗示や自己催眠のような操作で構築した嘘を真実と思い込ませていれば、その活性部位は少なくて済むだろう。つまり偽真実としてシンプルに反応できるのである。真偽がほぼ等価になった時点で、それまで実は元々内部にあったが未自覚な世界と外部の知覚世界が交差反転し、主従位置を交換する。



■4■つまり嘘の真実と本当の真実を操作できるようになって初めて、その両真実に対する新たな嘘、すなわち外部に対する嘘を構築できるようになる。私たちは人間社会の中で平気で、もしくは苦慮の末に嘘をつく。しかしその時点で既に背後で人間種が構築した偽真実システムは無意識深くに沈潜している。

■5■嘘をつけないと主張して絶対に真実しか語らない者は、生物種として既に袋小路に引き籠っている。真実と嘘のどちらも操作できる者が、時には他者やより大きなもののために嘘をつくことも辞さない自由を有しつつ意識的に真実のみを語る時、7の背後の裏7でなく、新7との和で14に到達できるのだ。










 


節電とは無関係な個人的省エネ



■1■チベットの高僧が山中で瞑想から覚めたら、周囲の氷雪がその周りだけ溶けていた…。鍛錬による心身の自己制御能力であるとか、在り得ない非科学的な話だとか、コメントするつもりは毛頭ない。似たような話は色々知っているけれど、四半世紀前に聞いたこのシンプルな話が私は結構好きだ。

■2■昨日の涼やかな雨とは打って変わっての猛暑。室内で伸び切っている猫を残して、気分転換に日差しの中を歩いてみた。この暑さもそこを超えると心地よく感じる意識の峠があるようで、高校時代に炎天下の中を走り回った時の感覚を少しだけ思いだした。暑い時は暑い、寒い時は寒い。確かに。

■3■病人や虚弱体質の人は例外として、私たちは暑さ寒さや空腹や苦痛などをもう少し能動的に味わうべきなのかもしれない。身体的に激しい知覚認識を味わうことなく、不快感覚を遮断して無痛で過ごすことが最善とは思えない。自己限界を追求することに快感を見出すと変態斜面を滑落しゆくけれど。



■4■過酷な環境に100%支配されるのではなく、能動的な意識の在りようで世界との関係を数パーセントなりとも優しく心地よくすることが私たちはできるのだ。対環境の物質的重装備や節電・節エネルギーも重要だが、心の内に氷雪を据えることができれば、外的環境のみならず内的環境にも健やかだ。

■5■個人的にはアンチ放射能にもこの発想の延長線上があると思うが、安易に妙なハウトゥーを晒して他者のリスクを高くするつもりはない。前世期なら精神主義とか非難されもしたけれど、己れの幸運を信頼して、他者への優しさの5%増量(…当社比)も可能だろうか。科学者、哲学者、どうよ?

■6■ああ、言うだけ言ったら暑くなってきた。現実環境が脳内のぺらぺらなアンチ猛暑ウォールを津波のように乗り越えて、私の省エネ対策をあざ笑うように舐めまわしている。私の意識、弱っ!いやいや、ここは無理せず、コメダ珈琲店に入ってカキ氷食うべし。…で、急いでかきこんだら頭がキーンって…。

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★画像はだいすけ氏の『生活・空間・風景(世界周遊の旅)』青の極致(ロス・グラシアレス国立公園、ペリトモレノ氷河)より借用。感謝。 http://adaisuke.blog100.fc2.com/blog-entry-69.html 


世界を2重に見る一方法

 

■1■楕円と真円、2焦点と1中心、ベシカパイシスと単一円、ベクトル平衡体と3/2重合ベクトル平衡体。そもそも左右の目からは別の視覚情報が入って来ており、脳がそれを1つのものとして処理統合する。単眼×単眼のままでは2系統の情報であり、統合が中途半端だと2重のものとして捉えられる。

■2■世界の様々なモノ、もしくは世界そのものも元々2重の情報構造なので、眼前の人や物でも意識的に焦点をずらすと2重に重なって見える。立体裸眼視の焦点合わせの逆の操作だ。ピントの合う1点以外の全ての視覚深度…少なくとも通常見える背後では、モノは2重に、もしくは2つに見える。

■3■情報を統合して通常の見え方にする以前は(そしてしているとしても)少しずれた2重のもしくは2系統の情報がある。この2重性を幻覚もしくは錯視として切り捨てる前に、眼前のモノや風景(の少なくとも情報)が、視界深度の1点以外は2重に見えることに至高の焦点を当ててもよいのではないか。



■4■つまり普段見ている世界(もしくは見方≒見え方)以外の見方をすれば世界は2重に見えると言う事実は、光学的現象として世界を外部だけに見るのではなく、それを見る視覚認識と情報の統合処理する個々人の側にも、2重性を「見えなくしている」要因・もしくは正しく「見えないところ」があるのでは。

■5■この光学器械を間に挟もうとと裸眼であろうと、1つにピントの有った視覚情報としての対象物が、どれだけ小さくても大きくても、少しだけ目を寄せるだけでその距離を1ミクロンであろうとも100万光年であろうとも、横方向にも伸ばすことができるのである。これは既存の長さや光速とは関係ない。

■6■数は常に+1が可能だから無限にまで増殖した。そしてその無限という視覚では把握できないものにまで+1を加えるという概念との差を区別できないまま、つまり見えるものと見えないものとの差を、プランク長や宇宙そのものの大きさとは別のところでも、界面を超えて粗雑に語ってしまっている。



■7■無・虚・空から引きずり出された1はとても重要である。そしてそれに対性を与えつつ+1してできる2もまた重要である。しかしこの+1の本質を知らぬまま次々と足して行って数を作り出したつもりの者にとっては、3以降は無限まで全て1つ、2つ、たくさんの「たくさん」と大差ないのである。

■8■そしてこの「+1の本質は、人間の左右の目の間にある」という表現も暗喩を超えて可能であろう。単なるメタファーだとしたら、世界そのものも単なるメタファーとなる。世界だけでなく自分自身を鏡の中に見る時も、その焦点を意識的にずらせば、無限に近い奥行きが僅かに体感できるだろう。

■9■「意識的に」というところが重要である。目を極限まで真ん中に寄せても、2重に見える対称は視界の左右端まで飛んでは行かない。しかしそれでもそれらの視野視界の総体と、その背後にある見えない対領域を滑らかにつなげられるとすれば、それは高次トーラス構造として捉えることも可能だろう。



■10■楕円と真円、2焦点と1中心、ベシカパイシスと単一円。焦点間を1とする単位楕円形もしくはベシカパイシスを考えた場合、それを見る人間の双眼が世界楕円体(世界球ではない)の視覚的な2焦点と対応し、2つの耳が聴覚系の2焦点に対応するのではないか。片方が内、もう片方が外とも機能して。


神は脳内からどこへ退縮しゆくのか?



■神に話しかけることは聖なる祈りとして認識されるけれど、神のほうから話しかけられたというと一種の精神病として扱われる。最近共感覚は神経医学では普通のこととして扱われ始めているが、個人的には誰にでもありうることとして、神との双方向の対話を共感覚として扱う1つの可能性を考えている。

■脳内で起こっていること、そして外部から起こしうることの研究がプライバシーを歪め、社会を管理しようとする側の絶好の手段となるという考え方と不安はさほど役に立たない。現実はとうに先に進んでいて、社会の中で生活している者はみな普通に無数の操作の下にある。

■それが当たり前のこととして、そこから先に進むためには、田舎や人跡未踏の地や宇宙空間に行く必要はない。そこすらもある意味、脳内世界の範疇から一歩もはみ出ていないのだから。それは自分自身からはどこまで行っても逃れられないという事実や、道具なしには自分の顔すら見えない現実と等値だ。



■fMRI()で瞬時かつ継続的に脳の反応部位・励起部位を画像で見られるということは、自らがそのフィードバック技術を用いない限り、悪用されるか自分にとって誤用されるのは明らかだ。自分が考えていると思っているものと、実際に考えているものとも差は自分ではわからない。

■どんな権威にも恐怖にも引け目やたじろぎを持つ必要もないし、どんな外的圧力に対しても抗する姿勢は保ち続けてしかるべきだ。しかし現在の問題はあらゆる外界や世界と普通に把握しているもののほとんどが自分が自覚していない脳の中の自分であるということだ。

■そのほとんどすべてでもありうる違いが微妙なずれに過ぎないとしても、それもその外の「他者」の存在自体の慈愛を感じられるか否かが、決定的な分水嶺になりかねない。神は死んだはもうとうに古い。世界は死んで久しく、自分一人がまだひっくり返ったまま立ちすくんでいる。



■ここ10年で爆発的に進化した脳内科学はコンピュータのたまものだが、コンピューの発達以上に急激なので、感情や意志、神経症やさまざまな鬱に対するカウンターを当てることがほぼできるようになりつつある。しかしその物質を介さないで自力で成す姿勢がなければ凶器となる。

■天使的人間と機械的獣人間に分かれていくという予言は、実はとうの昔に実現している。ただ一縷の救いは、それがいまだ完全に個体として分化されているのではなく、人類という種の中での出来事であるということだ。どちらでもないところへのブレイクスルーを見つけねばならないだろう。

■誰も自らの顔を鏡や機械なしには見られないと言ったが、実は誰も自らの脳内しか見られないという表現をかぶせても構わないだろう。他者の顔は見えても、他者の脳内…すなわち他者の見ている世界そのもの…は見えないのだ。強制共鳴ではなく自覚的共鳴で二而不二となるべし。

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)fMRI (functional magnetic resonance imaging) はMRI(核磁気共鳴も参照)を利用して、ヒトおよび動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法の一つである。最近のニューロイメージングの中でも最も発達した手法の一つである。(wikiより) 


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