世界卵の中にいて



■1■生物学的進化の上から見れば、人間も胎盤哺乳類だ。胎児の夢は生物進化の過程を物凄い早回しで繰り返す。この世に生まれ落ちまろび出た人間のさらなる進化の方向はどちらであろう。有袋類であるカンガルーの子は妊娠企画わずか3週間で生まれ、その後育児嚢という補助的子宮で2〜3ヶ月過ごす。

■2■人間の子は自力で生きていけるようになるまでに何年もかかり、大人になるまでには20年ほど要する。考え方によれば、それまでの人間社会そのものがカンガルーの育児嚢にも対応し、また第2の子宮とも捉えられるのではないか。子供の意識には長い生物としての歴史が重なって見えているとも言える。

■3■バーナード・ショーの戯曲に『メトセラへ還れ』という作品がある。その第5部の舞台は西暦31920年の未来だ。人間は受精後、大きな卵の中で2年間育てられてから世界に生まれ出てくる。最初の9ヶ月は子宮内の発育期同様に生物進化の諸段階を辿るが、残る15か月間に身体の方は17歳まで成長する。

■4■未来の人間は非常に長寿になっている。過去の人間は70歳までを未成熟のままで過ごした後で真の成長を始めるが、すでに死は直前である。新しい人間は卵の中で圧縮された人類の諸相を繰り返し、生後4年ほどで人類の幼年期を抜け出す。見方を変えれば、私たちの眼前の世界は卵の中とも言えまいか。



■5■タイトルになっているメトセラは、旧約聖書『創世記』5章に登場する人物で、エノクの息子でノアの祖父にあたる。聖書において最も長寿の人物で、969歳で死んだと記述されている。これは比喩表現での物言いだが、人間が次の進化ステージに進むには、死ぬのではなく長寿が必要だという捉え方だ。

■6■人間の神話が胎内で圧縮された生物進化の総体であると比するならば、私たちが現実世界としているこの世界をさらなる子宮として捉え、新たなる神話として第2の誕生を成し遂げるという方向を見ることができる。そこは神と出会う場ではなく、既存の神を超え行く領域としての心構えを要求されよう。

■7■世界の諸相を見渡せば、時すでに満ちて、前駆陣痛が始まっているように見えはしないだろうか。本陣痛が来るその時はそう遠くはないだろう。既に子宮口はもう僅かにだが開いている。もちろんこれは比喩である。と言っても比喩以外に語り口はないのだけれど。生物進化を未来にも見る視座のひとつ。














 

あにまんだら氏と生命進化の長旅を



■上野国立科学博物館で開催中の「生命大躍進展」をめぐりアニマンダラワークショップに直前飛び込み的な参加。前日の「ヌースレクチャー」最終回は2次会から乱入参加(BOB、すまんす!)。

■マス午前中は近くのカフェであにまんだらレクチャー。数秘術をカンブリア動物で表現した、カンブリアンズD.N.Aカードで、自分と縁のある動物化石を会場で探すという趣旨の仕込みもあった。



■あにまんだら氏がオノマロを撮影しているけれど、オノマロが撮っているものはアニマロカリス…じゃなくって、オノマロカリス…でもなくって、アノマロカリスでござるよ。



■気の許せるメンバーばかりの参加者で予想以上の大盛況。地球暦の杉山開知クンとあにまんだらさんの意気投合も喜ばしいことだった。37億年の生命進化の長旅の展示は、余りにも膨大すぎて途中でへこたれてしまった。真夏の暑さに加えて夏休み初日で上野界隈の人だかりはものすごかった。



■2次会は上野駅すぐそばの中華料理店で。













 

能動的「乖離」の時を見る

()Original picture by Jean-Michel Priaux "Separation" https://www.flickr.com/photos/jimpix/

■1■「乖離」とは本来密接に関係すべき2つの存在・自称・概念が疎遠な状態になっている様であり、さらにはその結びつきが分離状態になってしまっていることだ。例えば社会と個人の関係は、人間として生きていくためにこれまでは切っても切れない関係にあった。今日びでは社会と個人が乖離している。

■2■これまでの「社会から乖離している」と言う表現は、社会的な役割を相互に営みつつ協調して生きていくことが不可能になっている状態で、社会的疎外や個人の精神的疾患や機能不全という問題にその原因があるとされてきていた。現在では逆に、社会の方が個人から乖離している状態だとは言えまいか。
 

■3■視覚情報も含めて様々な情報が人目に晒されているが、それらに正常な感覚としてのリアリティが感じられない。それらの中には真実も含まれているだろうけれど、フィクションや粉飾や大衆操作用の精密なフェイクとの区別が殆どつかない。それらを見分けるために多大な努力が必要になってきている。
 

■4■TVや新聞関係者の大多数は、自らの仕事に誇りと責任を持って日々働いている事だろう。しかしその自らの仕事と社会や個々人との関係性、また全体性や将来展望などまで明確に構築していく暇がほぼない。いつ邪悪な目的に利用されるかすら分からないまま、精神的無防備状態で生活せざるを得ない。
 

■5■確固たる信念やビジョンを持って仕事に携わっている者や、仕事そのものに疑念を抱いて離れる者は、自ら属している仕事や社会から乖離しやすい状態だっただろう。今はむしろ社会そのものの方が、個人の意識からリアリティを失い、ゲーム中の壮大なフィクションの一こまのような陳腐さすら与える。
 

■6■情報に操作させられてはならない!というキャンペーン自体がまた利用されている事に無自覚なまま熱烈な活動をしている者もいれば、どうせ何をやっても現実は所詮なるようにしかならないのだと思い込むよう操作されている者もいるだろう。既存の自分自身の条件反射的思考・発想から乖離すること。
 

■7■個人にとってこの世界は未だ子宮の中であり、自分はまだ新しい世界への誕生を待つ胎児であるとしたら。自分自身の守護霊である胎盤も不可視ながらどこかに存在するはずだ。世界がこれほど激烈に緊迫しているのは、今や時満ちて、新しい世界に送り出すべく、子宮が収縮を始めているのではないか。
 

■8■もはや胎盤を介して母体に依存しながらの進化過程の再演を終も終え、開いた子宮口を潜り、参道の中を回転しつつ進んでいるのかも知れない。最先端だった人間を否定することなく内包して、さらにその先に進んで花開くために、もうすぐ母体と繋がっていた胎盤も乖離する。社会からの能動的な乖離。
 

■9■これは単なるイメージだ。しかし社会や他者から一方的に与えられる偽現実を鵜呑みにするより、個々人の創造的イメージは価値がある。社会そのものを否定する必要はない。自らを無気力に向かわせ、部分的な微力として徴用しようとするような偽りのフェイク社会に惑わされず、未来を見つめること。
 














 

おっぱいについていっぱい話そう(7)



■1■霊長類の中でも、いや哺乳類全般の中でも、ということは全ての動物の中でも、成長して大きくなったおっぱいが、閉経を迎えた後までもずっと丸く膨らんでいるのは人間だけである。母乳は出ないにしても、祖母のスタンスはもう用済みの生き物ではなく、子孫の代の子育ての重要なサポート役だった。

■2■最近でこそ公に「乳癌は祖母の罹る病」などとも言われているが、つい半世紀前までは癌であることを隠そうとしていた。医者ですら患者に告げるべきか苦悩するような時代だ。患者の数がそう多くなかった昔は遺伝的要因が大きいと考えられていた。今は乳がん患者の9割の家系に乳がんが見られない。

■3■おっぱいなき性の安全なところからの言明で非常に心苦しいが、乳癌のほとんどが女性本人によって発見されているという。昔は医師ですら乳癌と分かった時点で、腫瘍の詰まった部位を切り落とせば命は助かると考えていた。発見された頃にはもう、体の他の部位に転移していることが多かったのに。

■4■東洋医学は病気の予兆を事前に捉えて発病を避けるという発想である。西洋医学もようやく治療より予防の方が遥かに健康的であることに気が付き始めている。しかしこの馬鹿げた経済主導の世界では、その終焉期を迎えてもまだ治療や薬物の方が予防より遥かに儲かるという発想から離れられずにいる。

■5■環境とシームレスに繋がり、敏感に呼応するおっぱいは、自らを介して栄養と共に、放射能や有害物質も乳児に与え授けてしまう。個人個人の身体が単なるその人だけの所有物に過ぎないものではないように、おっぱいもまたその持ち主を優しく超えて、哺乳類としての人間のかけがえのない財産なのだ。

■6■生態系という言葉は、人間が環境と分かちがたく動的に結びついていているということの象徴や知識だけではない。環境問題とは私たちの身体内部や精神の健康のことでもある。自らのもしくは眼前のおっぱい1つであっても、壮大な時を経て進化の波頭に立ち現れている奇跡であることに変わりはない。

■7■この今の日本において、宗教や慣習、道徳や羞恥その他様々な意味で隠され、露わにされてこなかった私たち人間の誇るべきおっぱいについて、素直な敬意と慈しみを持って、心置きなくおっぱいについて語り合っても良い時だと思える。妄想や我欲のバイアスを否定せず、相互理解で乗り越える方向に。

■8■個人と種、極所と全体、フィジカルとメタフィジカル、男寄りと女寄りなどのどちらかに偏ることなく、我見に固執し過ぎたり黙して尻ごみ続けるのでもなく、共に観る未来への方向性をすり合わせる時なのではなかろうか。もちろんその言葉や思考とは別のところで反応する魅力やエロっぽさも含めて。

■9■笑う門には福来る、笑いは健康の元等とも言われるが、おっぱいがほほ笑み、おっぱいが笑い続けるような未来をイメージしてみる。もちろん比喩ではあるけれど、その哺乳類、霊長類の進化の枝の切っ先のさらに半歩先に、単なる物質・肉体を軽やかに超えて笑う魅力的なおっぱいを妄想する私がいる。













 

おっぱいの話をいっぱいしよう(6)



1■ナウシカのおっぱいは大きい。母性への憧れや敬意も含めてではあろうと思われるが、宮崎駿は授乳や恋人との抱擁のためではなく、死に赴く人々を抱きとめるための胸なので大きいのだという旨を語っている。実際に瀕死の兵を胸に抱いたり、悲しみに泣く城オジ達を無言で抱いたりするシーンがある。

■2■マンガ版の後半には結界庭園の中での薬湯入浴シーンがあり、そこで初めてナウシカのおっぱいが出てくる。しかしそこで描かれているのは爆乳ではなく、控えめなおっぱいだった。この件に関して宮崎駿は、何か見てはいけないものを描くような気がして、何か申し訳なくて描けなかったと答えている。

■3■最初は単に母性の象徴としていたおっぱいに対しても、描き続けた14年間で精神性もさらに深まったのであろう。私はそんな宮崎駿が大好きだ。設定ではナウシカには母の体に貯まった腐海の毒を引きうけて死んでしまった10人の兄弟がいた。腐海とは激しく汚染され瘴気毒を放つ大地の異形の生態系だ。

■4■また忘れがちだが、この作品の舞台は産業文明から1000年後の最終戦争で文明が滅びてから、さらに1000年余り後の未来の地球である。ここで現実の世界に立ち戻ってみよう。母体に取り込まれた環境汚染物質は、新生児と母乳
に濃縮される。単なる物語を超えてどけだけ現実味があるか痛感させられる。

■5■例えば海洋哺乳類のスジイルカとバンドウイルカの成体の雌は、残留有機汚染物質まみれのこの環境の中でも最上位の健康性を保っている。なぜなら体内の化学物質の最大91%を、最初の子供の体の中に産み捨てているからだ。育児に不慣れなことも考慮に入れても、1頭目の子の死亡率は恐ろしく高い。

■6■人間の母乳は必要な栄養分と免疫のための完全食だった。と同時に母乳を作ることはまた、究極のデドックスでもある。人工的な化学物質や重金属の多くは20世紀に出現した。脂肪と蛋白質の多い母乳はそれらを引きつけて内分泌系を撹乱する。母乳推進派すらも、単純に母乳を称賛できなくなっている。

■7■ノルウェーは世界で最も母乳保育率が高く、新しく母親になった女性の99%が母乳を選択する。だがその国の国立公衆衛生研究所ですら、生後6か月を過ぎてからも母乳を与える功罪を考えているほど事態の深刻度は高いのだ。逃げ場はない。個人差はある。だがそれは単なる運の善し悪しなのだろうか。

■8■ある進化仮説。全体の8割が現状を謳歌し2割は不遇をかこつ。しかし進化はその少数派から立ち上がる。その新しいステージでもこの8割2割は発生する。現状に満足して無思考の者はいずれ次なる進化の時は取り残される。はたして人類は、いや素晴らしい我らのおっぱいはなくなってしまうのか?

■9■現状維持はありえない。それならばいずれこの高性能高機能のおっぱいが滅亡するか、全く別のものに進化する前に、思い残しのないようひたすら美しく魅力的に磨いたり、鑑賞して堪能するだけなのか?それともより広い視野で連動することで取りあえず世界の方を変えていく選択肢も残っているのか?

『おっぱいの科学』(フローレンス・ウィリアムス)
『風の谷のナウシカ』全7巻 (宮崎 駿)を参考に。













 

おっぱいの話をいっぱいしよう(5)



■1■一般男性のイメージ。人間の赤ん坊は乳首に吸い付いた舌で蠕動運動をして、母乳を吸い出している。しかし最近の科学的分析によって、実際は赤ん坊が乳首を強く吸い、唇を放す時に母乳が流れ出ているという事が分かった。しかも赤ん坊は呼吸の達人のように、母乳を吸いながら鼻で呼吸をしている。

■2■研究によれば、初めての母親が24時間の間に片方のおっぱいで生産できる母乳の量は平均して454gであり、おっぱいはその半分ほどを貯蔵できる。ただし生産量も貯蔵量も、乳児のニーズに応じて柔軟に決定される。また15か月授乳した後に妊娠前の大きさになっても、208gの母乳を製造可能である。...

■3■母乳製造器官としてのおっぱいは実に高性能だ。ではもう1つのおっぱい、つまり母乳の方はいかなる成分を有しているのだろう。最近まで、母乳成分は約200種類で、大きく括ると脂質・糖質・蛋白質・酵素に分けられ、しかもおしっこのように無菌であると考えられていた。だが科学技術は進歩した。

■4■母乳には培養したヨーグルトのように生きた微生物が沢山ひしめいていた。複数の母乳サンプルからは800種もの細菌が発見された。しかもそのほとんどが新種である。それらは乳児の腸内で有害なものに出くわした時、敵と認識して戦い駆逐する一種のワクチンの役目をするよう進化したと考えられる。

■5■単糖が鎖状に連なった構造のオリゴ糖というものがある。おっぱいの乳腺は自然界では見つかっていない遊離オリゴ糖を作り、母乳に蓄えている。しかもこの母乳特有のオリゴ糖は血液型によって構造が異なり、不思議なことに乳児には消化できない。感染症と戦う腸内の善玉菌の栄養となっているのだ。

■6■私たちは無数の微生物がひしめく世界の中で生きている。生まれ出て最初にすることは、体を守ってくれる微生物を充填することだ。母乳は必要な栄養や酵素以外にも、様々な必要微生物も授けてくれる。代用粉ミルクが必死にその代役を果たすべく改善しても、未だにその繊細さと絶妙さには及ばない。

■7■私は母乳主義者ではない。母乳で育てようと決心したものの、社会生活との不整合や乳腺炎の苦痛その他で、挫折する母親が多数いることも知っている。それらに耐えて続けるべきだとは言えないケースも多々ある。しかしそれでも、母乳を介した人間と細菌との見事な相互作用は知っておくべきだろう。

■8■病院の新生児病棟では、帝王切開した子も含めて未熟児に対して、母親から搾乳した母乳または母乳バンクの母乳を与えようと努める。「見えない世界も大切にする」と言う表現をしても、これは霊的・精神的なもののことではない。前世紀は細菌根絶を目指したが、今世紀は共生する方向性を持つだろう。

■9■総括者は母親の自我ではなく、おっぱいである。おっぱいはまだ子供がお腹の中にいる頃から、胎盤からの胎盤性ラクトゲンによってその性別を知り、それにより異なる準備をする。またおっぱいは母乳の中に内因性カンナビノイド(麻薬に似た成分だ)を混ぜて、授乳に対する空腹と満腹の調整をする。

■10■では母乳を断念して粉ミルクで子育てした母親は、絶望するしかないのだろうか。その必要はないだろう。次々に解明される母乳の素晴らしさを追って代用ミルクも進化している。むしろ問題はその母乳成分の素晴らしさが解明されつつあるこの今、母乳そのものの中に混入してきている異物質たちの方だ。

)フローレンス・ウィリアムス著『おっぱいの科学』を参考に。














 

おっぱいの話をいっぱいしよう(4)



■1■近年、女の子のおっぱいが膨らむ時期がじわじわと早まっている。具体的な数値で言えば、1850年以降は10年で3ヶ月ほどのペースである。1997年の米国の研究データでは、白人少女のおっぱいが膨らむ平均年齢は9.8歳、黒人の場合は8.8歳だという。そして普通ならばその2〜3年後に生理が始まる。

■2■またもっと最近の別の研究データ(2010年)で、6〜8歳の少女の乳房の発芽もしくは陰毛の発生が見られる比率というものがある。黒人では全体の1/3であり、ヒスパニック系で15%、白人は10%、そしてアジア系では4%である。だがその原因は複数であろうし、その結果もまた確定されてはいない。

■3■単純な進化の筋書きから見れば、以前より食料が豊富になれば生殖時期が早まり、子孫の数も増えるので喜ばしいことだ。だが実は思春期が早いほど乳癌にかかるリスクが高くなるというデータが存在する。私はフェミニストでもロリコンでもないけれど、男だから関係がないと看過できる問題ではない。

■4■この思春期の目覚まし時計を早めてるものに関する有力な仮説は3つある。「人工照明説」「離婚説」「性的情報過多説」だ。先ずは照明器具・PC画面・街灯その他の過去にはなかった夜間の人工照明が、松果体から分泌されるメラトニンの自然生成を抑制して、思春期早発症を招くという説である。

■5■離婚説とは少女が実の父親と同居していないと性的成熟が早まるという説だ。親のいない象にもこの現象が起こるという。性的情報過多説は巷に溢れる性的な映像や情報が、第2次性徴をフライングさせるという説だ。他にも栄養過多、医療技術の向上、工業汚染物質など内分泌撹乱要因には事欠かない。

■6■人間は社会的生物でもあるので、社会的適応能力も必要となる。しかし自他の概念・衝動の抑制・長期的視野などを司るとされる脳の前頭前皮質は、成熟するのに20年を要する。進化論者が不適合と呼ぶこのギャップは、「私たちのようにおまえもそうしなさい」という論理そのものも不適合にしている。

■7■2010年の英国の調査では、肉食量が多いほど性的成熟が早いことが分かり、高食物繊維イコール遅い成熟と考えられている。女の子のおっぱいが早く膨らむ原因や解答は1つではない。化学物質に晒されると思春期が変動することは以前から知られていた。ダイオキシンや鉛は遅らせ、DDTは早める。

■8■「フタル酸エステル」は内分泌撹乱物質(別名環境ホルモン)として知られている。シャンプー・石鹸・ローションなどに香料保留剤として含まれており、またポリ塩化ビニルを柔らかくする添加物として、プラスチック製品・合成皮革・ビニール袋など、化学物質は日常生活や街中に満ち溢れている。

■9■プラスチックの材料になにる化学物質には、エストロゲン(女性ホルモン)になり済まして乳腺を増殖活性化させるものが何千種もあると考えられている。ではどうすればよいのだろう?先ずは問題の自覚、環境と食物の改善、自己他者の世界観の再構築。個人で物理的にどれだけ奮闘しても限界がある。

■10■医学的に1つの啓示はある。妊娠による変化が乳癌を遠ざけることは知られている。だが全ての少女に15歳までに子供を授けさせるというのは非現実的だ。そこで研究者は優れた癌予防薬となる妊娠ホルモンにより、医学的に想像妊娠状態を作るということを研究している。おっぱいの1つの現実である。

)フローレンス・ウィリアムス著『おっぱいの科学』を参考に。













 

おっぱいの話をいっぱいしよう(3)



■1■おっぱいは脂肪・基質・乳腺の3種類の組織からなる。片方で500gほどだが、妊娠後期にその倍ほどになることもある。おっぱいは月経の1サイクルの間に、その容量が13.6%変動する。研究によれば右のおっぱいの方が左より大きい傾向がある。左右逆のこともあるが、一方が平均して39.7ml程大きい。

■2■乳腺の奥深くに、血を乳に変えるという奇跡を起こす腺胞がある。この腺胞が集まって小葉になる。小葉が集まって乳腺葉を作る。それぞれの乳腺葉が乳管で繋がっておっぱい全体のネットワークを形成しているのである。腺胞がブドウの粒だとすると、小葉はブドウの房で、乳腺葉はブドウの木である。

■3■個人差はあるが、片方のおっぱいに平均20個の乳腺葉があり、乳腺葉は乳頭の開口部に繋がっている。途中で繋がっている事もあって、乳頭の穴は平均12個になっている。乳頭自体の発達は、乳頭から出発して、逆向きに分岐しつつ胸壁に向かう。乳輪の小突起は、乳児の唇を密着させるために存在する。

     

■4■複雑な身体部位はみな、基本的に生まれた時点で出来上がっている。脳も睾丸も然りである。しかしおっぱいは例外だ。思春期になってからその基礎工事が開始される。それは妊娠・出産によって乳腺組織が発達して授乳可能となり、さらに離乳により退縮する。おっぱいは妊娠ごとに再構築されるのだ。

■5■「違えば違うだけ同じだ」というパラドクスがある。差異に注目して数え上げればそれは増えていく。また生物学的な分類体系を遡っていけば、差異は誤差のバリエーションになって埋もれていく。差異と相似のどちらに注目するかの差だが、人間のおっぱいと同じ哺乳類ながらのその差異を見てみよう。

■6■海生哺乳類で水中で授乳させる、マナティーの乳首は腋の下にある。小型霊長類のアイアイの乳首は下腹部にある。ゲラダヒヒの乳首は一度に吸えるほど左右が接近している。卵生で乳首を持たない単孔類という特殊な哺乳類のハリモグラとカモノハシは、育児嚢の中で皮膚から滲み出る乳をなめさせる。

■7■マダガスカルに住むテンレックの乳首の数は全部で24もある。またカンガルーのような有袋類であるキタオポッサムの乳首は、非常に珍しい奇数の13個だ。授乳はメスの専業と思ってはいけない。ダヤクオオコオモリはオスも授乳することが1994年に発見された。哺乳という括りでは全て同じものである。

     

■8■フローレンス・ウィリアムスによれば、人間を含む哺乳類の乳腺は、4つの役割を成してきた。その種の子供に合った栄養の食物を与えること、子供に免疫力をつけさせること、母体のホルモン分泌を促して次の出産までに間を置くこと、生存の術を学ぶ時間を与えることだ。異性を魅了する項目はない。

■9■さて人間のおっぱいに戻ろう。そもそも、おっぱいがこのようなカタチになったのは、異性を魅了して受精するためだったのか、それとも子供に授乳させ育てるための究極の機能美なのだろうか。二元論的な二択の発想を超えてみよう。そのどちらもだったというのが、より正解に近いのではなかろうか。

)フローレンス・ウィリアムス著『おっぱいの科学』を参考に。













 

おっぱいの話をいっぱいしよう(2)



■1■現在の社会は男性社会と言われている。取りあえずそこではおっぱいの大きな人(もしくは大きなおっぱいそのもの)は注目を集める。目の前にそれが出現すると、理性が働く前に生物学的に反応してしまう。それはいかなる生物学的反応なのか?いやそれ以前になぜ人間にだけおっぱいがあるのだろう?

■2■アカデミズムもまた男性的社会である。科学者のロン氏もまた、最近までの主流は男性社会的発想に傾いていた。曰く「おっぱいは潜在的な交尾相手に重要な情報を発するための信号として進化した。大きいおっぱいの方が小さいものより弛みやすく、より多くの情報を得られるのでより男の目を引く。」

■3■フランスで大真面目に成された学術的実験がある。胸が小さめの若い女優に、先ずはそのままで、次はブラにパッドを詰めてB-cupに、さらにC-cupにして夜のバーカウンターに12回ずつ立たせたのだ。結果は踊りに誘われた回数が13回、19回、44回であった。同様のヒッチハイクバージョンもある。

■4■別の研究では、胸の大きいウェイトレスほどチップを多くもらうというデータを得ている。安っぽいテレビ番組の内容のようだが、年配の男性研究者たちはこのようにして、「大きなおっぱいほど男性を惹き付ける」という進化仮説を補強しているつもりでいる。しかし実際のところはどうなのだろう?

■5■男性のおっぱいの好みは、みんなが巨乳好きとは限らない。掌に収まるくらいの大きさを好む人もいれば、小ぶりが好きな者もいる。アフリカの一部種族は長く垂れ下がったおっぱいを好む。女性人類学者が言うように、実のところ相手を見つけて子供を産むのに乳房の大きさは関係ないのかもしれない。

■6■『マンウォッチング』などで有名なデスモンド・モリスは、『裸の猿』の中で、それまでのキリスト教的な人間本位の社会観や価値観を排し、動物としての人間の在り方を説いた。しかし今読み直すとそれでも男性本位の世界観からは脱していない。もちろんこれは彼一人のせいではなく時代性なのだが。

■7■人間以外の霊長類は発情期になると、尻や陰唇が赤く腫れるのでそれが分かるが、2足歩行する人間はそうでない。そこで正面から見ると、お尻を真似たおっぱいや陰唇を思わせる赤い唇がそこにあるのである。…これを読んだ昔は成程と納得したけれど、今読むと男性視線からだけの捉え方だと分かる。

■8■残念ながらおっぱいに関しては、化石からは判断できない。だからその起源や発達も、全ては仮説に過ぎないのである。そして今の人間のおっぱい進化仮説は、男性の目印として発達したと捉えるのではなく、女性の授乳という行為と機能ために、現在のような形に落ち着いたとする方に傾いてきている。

■9■祖先が幼児が掴まるべき濃い体毛を失った後で、母親が腕を曲げて抱えた内側におっぱいがあれば機能的である。さらに丸く突きだしたおっぱいの乳首は可動性を持った。2足歩行で狭くなった腰骨を出産時に通過するために、顔が平らになり、平らではなく飛び出したおっぱいの方が授乳に都合がよい。

■10■授乳により子供は小さいまま生まれ、母親も移動が楽になった。最初から歯がなくて済み、その分も脳が大きくなれた。母親と長く居る幼児は様々なものを学べた。脳の6層構造の新皮質と口蓋と舌の筋肉の発達が、思考と言語を可能とした。おっぱいを性的な対象としか見ない学説は古色蒼然となった。

)フローレンス・ウィリアムス著『おっぱいの科学』を参考に。











 

おっぱいの話をいっぱいしよう(1)

■1■「体」は今年の個人的テーマの1つである。体術や医術関係の専門家は沢山いるが、人体でも未だ知らないままの部位も沢山ある。胎盤はましまし氏にお任せし、私はおっぱいに関して考えてみたい。突然「おっぱい」の話を始めたら、エロ爺の繰り事と誤解されかねないので、一応前口上をしておこう。

■2■自らその持ち主である女性がおっぱいのことを論ずると、そこに無意識下での優越感や劣等感が混入しかねない。男性でも若者が語ると、読む側がそこに願望や経験をつい邪推してしまう。枯れ始めた(もしくはそのふりをした)爺さんが語れば、好きこそものの上手なれも年の功として聞く耳もあろう。

■3■女性は思春期になると、いやでも自他のおっぱいが気になる。男性もそれが視野に入ると平静ではいられない。DNAが人間と98%が同じチンパンジーにも乳房がない。つまり残り2%の中におっぱいを司る遺伝子があるのだ。実は丸くふっくらしたおっぱいを持つのは、霊長類の中でも人間だけなのだ。

■4■おっぱいの話をするならば、先ずは「哺乳類」から見ていかねばならない。哺乳類(Mammalia)という分類名を造語したのはリンネである。その元のラテン語形容詞(Mmammalis)は「乳房の」という意味だ。「哺」は口にふくませる、食物を与えるの意で、「哺乳」とは乳を飲ませて育てることである。

■5■中生代(約2億5千万年前〜6千5百万年前)に汗腺が変化して乳腺になった。子は乳汁を貰えるので余計な栄養を持たず、より小さい体で生まれてこれた。脳も容量を増やせた。母体は臀部がコンパクトになり、二足歩行に移行しやすくなった。乳首は口蓋と唇を発達を促し、言葉を話す準備を整えた。

■6■母乳には栄養となるものだけでなく、雑菌を排除たり免疫を高めたりするものも含めて何百種類もの物質が含まれている。それはいつでも適温であり、脂質・蛋白質・糖質のバランスも素晴らしく、赤ん坊的には味も良いに違いない。進化上の出現から人間特有のおっはいまで実に長いこと完全食だった。

■7■おっぱいは乳児から刺激を受けたらすぐに乳汁を分泌できるように、乳腺組織間に血管と神経が張り巡らされている。繊細だからこそ性的刺激にも敏感に反応する。おっぱいの話もおっぱい同様に非常にデリケートである。しかしもはや口は災いの元とばかりに、黙して語らずにいても良い時代ではない。

■8■物質文明の発達の果てなる昨今、おっぱいは平均的に膨らみ始める年齢が早まり、しかも以前より大きくなってきている。そして最高傑作であるおっぱいが子供と繋がっているだけでなく、外部の環境・生態系とも深く繋がっていることが明らかになった。母乳から化学物質や汚染物質が検出されたのだ。












 

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